「F-14トムキャットが一番好き」死にかけてもそう言える 生還した伝説のパイロットの“判断”

いまから30年ほど前、中東で「骨折」「前見えず」「無線不通」という三重苦状態ながら、空母に無事帰還した伝説のパイロットがいました。しかも彼はその後、スペースシャトルで宇宙にも行ったとか。あきらめずに生還した理由を直接、聞きました。

常にチャレンジ 遂にはスペースシャトルで宇宙へ

 とはいえ、空母「アイゼンハワー」の全長は東京タワーと同じ333mもあるため、風上への進路変更には約10分もの時間が掛かったとのこと。ただ、この間にエドワーズ氏は安全に着艦できるかを試すため、2回の模擬アプローチを実施。前部キャノピーはひび割れているため視界は遮られていたものの、ひび割れのスキマや、開いた穴から前方を見て操縦。そして、無事に着艦を果たします。

 その後、エドワーズ氏は事故での業績を称えられ、「飛行中において英雄的行為、もしくは格別の功績があった者」に与えられる殊勲飛行十字章を授与したといいます。

 目の負傷というパイロットとしては致命的な傷を負ったエドワーズ氏でしたが、彼のキャリアはここで終わりませんでした。その後、1994年にNASAの宇宙飛行士に選ばれ、1998年1月にはスペースシャトル「エンデバー」のパイロットとして宇宙に飛び立ちます。この時の飛行は8日間と19時間にもおよび、約580万kmもの距離を移動しました。

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1998年1月に実施されたスペースシャトル「エンデバー」のミッションSTS-89のメンバー。エドワーズ氏はパイロット(写真下段の左端)として参加(画像:NASA)。

 ある意味でパイロットとして極致を体験したエドワーズ氏。操縦したF-14「トムキャット」もスペースシャトル「エンデバー」も、現在は双方とも退役しており、過去の栄光となってしまいましたが、その後も彼は海軍やNASAでの経験を元に航空産業でコンサルタントとして精力的に活動しています。

 このように常にチャレンジし続けるエドワード氏に、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)はF-14の印象について聞いたことがあります。そのとき彼は、次のように答えてくれました。

「F-14の操縦の難しさは状況によって変化します。ただ飛ばすだけなら簡単だけど、状況によってはそれが一変し、夜間着艦なんかは本当に大変でした」

 このように返してくれたエドワード氏ですが、同時に、「トムキャットは一番好きな機体」だとも。彼にとっては散々な目に遭った機体ですが、それとともに何ものにも代えがたいほど愛した機体でもあるようです。

【了】

【この状態で帰ってきたの!?】ボロボロ状態で空母に着艦するエドワーズ少佐操縦のF-14「トムキャット」ほか

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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