“古くて鈍足”でもほぼ無敵? WW2英海軍が旧式艦上攻撃機「ソードフィッシュ」を使い続けたワケ

第2次世界大戦中、イギリス海軍では鈍足で防御力も低い旧式の複葉艦載機を戦争後期まで多用し続けていました。ただ、それが重用されたのは機体そのものの特性と、大西洋戦域ならではの事情があったのです。その理由をひも解きます。

大西洋で「ソードフィッシュ」が多用されたワケ

 ヨーロッパ戦線における海戦の舞台となったのは大西洋と地中海で、イギリスと火花を散らしたのはドイツとイタリアでした。ただ、この2国は空母を最後まで就役させられずに終わっています。ドイツに占領されたフランスは3隻の空母を保有していましたが、国が親ドイツのビシー政権と連合国側の自由フランス軍に分かれたことで、それらが直接、海戦で使用されることはありませんでした。

 そのため大西洋における海戦は、連合国の海上輸送路を枢軸国が攻撃する通商破壊戦がほとんどでした。なお、日米が激突した太平洋戦域では、日本が占領した島々をアメリカ軍が攻略し、両国の海軍が戦艦や空母を投入しており、大西洋とは海戦の様相が大きく異なっていたといえるでしょう。

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「ソードフィッシュ」と同じ3人乗りながら先進的な設計だった九七式艦上攻撃機。写真は大戦で実戦に使われた一二型(画像:アメリカ海軍)。

 ドイツとイタリアは戦艦すら通商破壊戦に投入しており、日米のような機動部隊同士の激突は起こらなかったのです。また戦争が進むにつれ、英米海軍より弱体で戦力がじり貧になっていったドイツ海軍は、短期間で多数を建造できる潜水艦の量産に走るようになり、海軍の作戦もそれらを多用したものへと移行します。

 一方、多数の空母を持つイギリス海軍は、艦載機をドイツ潜水艦(通称Uボート)の哨戒や攻撃に使用し、ドイツ艦隊に対しては主に雷撃で主力艦へダメージを与え、戦艦でとどめを刺すという形を取るようになりました。

 大西洋でも、陸地から遠く離れた外洋域では、空母のないドイツ軍は戦闘機による攻撃を行えません。そのため、イギリスの艦載機は敵艦艇の対空砲火を警戒すればよかったのです。これが第2次世界大戦中盤を過ぎても「ソードフィッシュ」が使い続けられた主な理由でした。

 実際、1940(昭和15)年11月にイギリス海軍が多数の空母艦載機を用いて行ったイタリア南部への攻撃、いわゆるタラント空襲では、「ソードフィッシュ」が戦闘機の護衛もなくタラント軍港まで辿り着き、イタリア海軍の戦艦に大打撃を与えています。しかも撃墜されたのは出撃した21機のうちわずか2機で、これらは対空砲火によるものでした。

 また、1941(昭和16)年5月に起こったドイツ戦艦「ビスマルク」の追撃戦では、「ソードフィッシュ」の雷撃で同戦艦の舵が損傷し、航行不能になったところをイギリス艦隊が砲撃で沈めています。

【レーダーやロケット弾まで装備】イギリスの複葉艦攻「ソードフィッシュ」(写真)

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