“古くて鈍足”でもほぼ無敵? WW2英海軍が旧式艦上攻撃機「ソードフィッシュ」を使い続けたワケ

第2次世界大戦中、イギリス海軍では鈍足で防御力も低い旧式の複葉艦載機を戦争後期まで多用し続けていました。ただ、それが重用されたのは機体そのものの特性と、大西洋戦域ならではの事情があったのです。その理由をひも解きます。

「ソードフィッシュ」は太平洋で活躍できたか

「ソードフィッシュ」は複葉機ならではの優れた旋回性能を持ち、機体が布張りのため被弾しても乗組員やエンジンに当たらなければ容易には墜ちませんでした。

 加えて操縦性も良いことからパイロットのあいだで評判が高く、戦争後期にはレーダーやロケット弾まで搭載されています。

 なお、イギリス海軍も「ソードフィッシュ」の後継機を導入しようとしました。新型艦攻として開発されたのは、同機と同じフェアリー社製の「アルバコア」や「バラクーダ」でしたが、いずれも失敗作といえる代物でした。結局、イギリス海軍はアメリカ製の機体を採用します。それは前述した「デバステーター」の後継機であるTBF「アヴェンジャー」で、主に護衛空母でドイツ潜水艦の哨戒や攻撃に使われました。

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1945(昭和20)年5月、空母「ヴェネラブル」の上空を飛ぶフェアリー「バラクーダ」(画像:帝国戦争博物館)。

 ちなみに1941(昭和16)年12月の日米開戦時、シンガポールには少数の「ソードフィッシュ」が配備されていました。1942(昭和17)年4月にセイロン沖海戦が起こり、日本の空母機動部隊はイギリス空母1隻、重巡洋艦2隻、駆逐艦2隻を沈めています。

 この戦いの前哨戦として4月5日に日本の空母艦載機がセイロン島のコロンボを空襲、イギリス軍も日本の機動部隊に向けて陸上機の双発爆撃機14機と「ソードフィッシュ」8機を出撃させています。この時、コロンボに向かう日本の攻撃隊と「ソードフィッシュ」が遭遇し、全機が零戦に撃墜されました。

 日米が激突した太平洋では、開戦初期から空母艦載機どうしが激しい空中戦を行っており、より高性能な新鋭機の実用化が急がれました。日米の艦載機開発のピッチの早さを鑑みると、イギリスの「ソードフィッシュ」は強敵のいない大西洋が活動の舞台だったからこそ、その名を残せたといえるでしょう。

【了】

【レーダーやロケット弾まで装備】イギリスの複葉艦攻「ソードフィッシュ」(写真)

Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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