"TX級"高速新線があちこちに? 国鉄が何度も挑戦した「開発線」構想とは 「通勤新幹線」のなれの果て
国鉄がガチで考えた首都圏鉄道「第2形態」とは
論文によれば国鉄は通勤輸送対策を、
【第1段階】主要路線の複々線・三複線化「通勤五方面作戦」の完遂
【第2段階】既設在来線の高速化、直通運転拡大を中心とした「現有ネットワークの最大活用」
【第3段階】ニュータウンと都心を結ぶ「新しいネットワークの形成」
というステップで考えていました。
具体的にどのような路線を想定していたかというと、「建設計画図(試案)」によれば下記の通りです。
(A)高崎方面開発線
(B)常磐方面開発線
(C)東海道方面開発線
(D)東北方面開発線
(E)中央方面開発線
(F)総武方面開発線
経由地は明記されてはいませんが、路線図から大まかなルートを読み取ると、(A)と(B)は新宿付近でU字型に直結、(C)と(D)は池袋、新宿、渋谷を経由して直結、(E)と(F)は新橋、新宿経由で直結していることが分かります。全ての路線が新宿を経由しているのは、東京駅への一極集中を避ける意図がありました。
また(A)は東北線と中央線の中間、(B)と(D)は東北線と常磐線の中間にある鉄道空白地域に伸びています。北関東にはあまり私鉄が伸びておらず国鉄へ利用が集中していたため、分散を狙った形です。
論文はこの「開発線」の収支について、都心と人口60万人規模のニュータウンを表定速度150km/hで結ぶ前提で試算しています。これは当時の東海道新幹線「こだま」の表定速度に匹敵しており、結局のところ「通勤新幹線」をそのまま引き継いだ構想だったことが分かります。
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