戦闘機配備されたことない空自基地に「ファントムII」なぜ? 愛称「ヨサク」YS-11と並んでいるワケ

戦闘機配備されたことない空自基地になぜ「ファントムII」展示?

 しかし、いくら人気のある「ファントムII」とはいえ、輸送機が主役の美保基地にとって、ある意味で異色の存在といえます。戦後、自衛隊が発足してから美保基地は一貫して輸送機が中心の基地であり続けた歴史を持っており、戦闘機がここに配備されたことは一度もありません。

 ただ、美保基地と「ファントムII」に接点がまったくないかというと、違います。実は過去に「ファントムII」に関する人員育成で、この美保基地が重要な役割を担っていたことがあるのです。

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2020年まで航空自衛隊が運用していたRF-4E偵察機(画像:航空自衛隊百里基地)。

 正確にいうと、美保基地が関わりを持つ「ファントムII」とは、戦闘機型のF-4EJではなく、偵察機仕様のRF-4です。RF-4は、外見上は通常のF-4とよく似ていますが、機体には武器の代わりに偵察用カメラを搭載し、その任務も戦闘ではなく目標地域の写真撮影と情報収集でした。

 こうした任務を鑑みて、コックピットの後席には偵察航法士と呼ばれるRF-4だけにしか設けられていない特別な搭乗員が乗っていたのですが、かつてその隊員の訓練は美保基地で行われていたというわけです。

 航法士とは、航空機へ実際に搭乗して、その機体の飛行ルートや航法関係の任務を行う搭乗員のことです。航空自衛隊ではC-130H輸送機やB-777-300ER政府専用機など、一部の大型輸送機でいまだに搭乗していますが、過去に運用していたRF-4にも航法士は搭乗していました。

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