「顎しゃくれすぎ!」XF8U-3「クルセイダー III」初飛行-1958.6.2 超メジャー機に完敗し不採用

ひとり乗りであることが欠点に

 しかし、比較試験が行われると、中距離空対空ミサイル「スパロー」の発射台としての性能で大きく水をあけられます。同ミサイルは「セミアクティブ・レーダー・ホーミング」という、当時は最新の誘導方式を持つものでしたが、発射後は着弾まで目標をレーダー波の照射内に捉え続ける作業が必要でした。

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対抗馬だったF4H(画像:NASA)。

「クルセイダー III」は単座だったため、この作業をパイロットひとりでする必要がありましたが、F4Hの場合は複座で専属のレーダー迎撃士官が同乗する形のため、負担が半分ですみました。

 加えて、F4Hの方が搭載量で勝っていたことも敗因の大きな理由となりました。当時はミサイルが射程や命中精度などの面で著しく進歩していたことから、将来の戦闘機は機動性を活かして機関銃を使い敵機を撃墜するという旧来の方式から、ミサイルを運び、発射後はひたすら誘導に徹するプラットフォームになるであろうといった考えが広まった時期でもありました。いわゆる「ミサイル万能論」と呼ばれるものです。

 結局「クルセイダー III」は5機が製造されたところで、計画が破棄されますが、高高度での飛行能力を買われ、うち2機はアメリカ航空宇宙局(NASA)へと移管され、大気圏試験用の実験機としてしばらく運用されました。

※6/02 20:36 一部修正しました。

【了】

【アゴだけが個性ではない】腹部の大型フィンにも注目なXF8U-3「クルセイダー III」(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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