「顎しゃくれすぎ!」XF8U-3「クルセイダー III」初飛行-1958.6.2 超メジャー機に完敗し不採用
1958年6月2日に初飛行したヴォートXF8U-3「クルセイダー III」は、しゃくれアゴのようなエアインテークが特徴で、F-4「ファントムII」の競合相手でした。
速度や操作性に優れるも時代はミサイルを求めた
1960(昭和35)年にデビューし、2023(令和5)年現在も一部の国で運用されているF-4「ファントムII」。日本も導入したこの戦闘機の競合相手として開発された機体が1958(昭和33)年6月2日に初飛行したヴォートXF8U-3「クルセイダー III」です。
同機はアメリカ海軍が運用していたF-8「クルセイダー」戦闘機の後継機、そしてF-4の試作機であるF4Hの対抗馬として開発されました。
ジェットエンジン単発で、機首下部にエアインテーク(空気取り入れ口)を設け、コックピットは単座(ひとり乗り)など、外観こそF-8「クルセイダー」とよく似ていますが、部品の互換性はほとんどなかったとか。なお、速度性能に関しては、「クルセイダー III」は、マッハ2.7という「クルセイダー」の最高速度であるマッハ1.7をはるかに超えるレベルをめざし設計されています。
その高速性を実現するため設計に取り入れられたのが、しゃくれた形のエアインテークであり、胴体後部下面に取り付けられた昇降式の2枚の大型フィンです。
1958(昭和33)年6月2日に初飛行を行った「クルセイダー III」は、速度に関しては目指した性能を発揮することができました。水平飛行で初めてマッハ2.0を超えたのは38度目の試験飛行中の8月14日で、対抗馬のF4Hよりも、いち早くマッハ2の大台を実現しました。格闘戦能力も高く、ライバルより小回りが利いたといわれています。
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