“ここはアメリカ”横浜のど真ん中になぜ? 米軍専用の港「ノース・ドック」戦争に翻弄された歴史

横浜を代表する観光地「みなとみらい21」のすぐ近くに、横須賀や佐世保と同じ在日米軍専用の埠頭「横浜ノース・ドック」があります。ここは戦前、日本が整備した物流拠点でした。その知られざる歴史を振り返ります。

太平洋戦争で運命は大きく転換

 関東大震災の発災から2年後、1925(大正14)年に外国貿易設備(瑞穂埠頭)と内国貿易設備(高島埠頭、山内埠頭)の整備は「大正14年直轄事業」として再開。10年後の1935(昭和10)年3月に瑞穂埠頭が完成します。

 この時、東海道本線臨港線から分岐する専用線も建設され、埠頭内には外国貿易の貨物専門駅として、瑞穂駅が同年7月に設置されました。なお、途中で水路を跨ぐため、日本初の溶接鉄道橋として瑞穂橋が架けられています。

 瑞穂埠頭は、開業時点で3000総トン級の船舶5ないし6隻が余裕をもって接岸できる設備が整えられており、ゆくゆくは1万6000総トン級の船4ないし5隻まで同時に荷役が可能な受け入れ能力が付与される予定でした。

 ちなみに、当時の日本郵船が保有していた大型貨客船「浅間丸」が、全長178mで1万6947総トンだったので、このクラスの船が縦列で横付けできる形になります。

Large 20230628 01
瑞穂埠頭の一角を占める在日米軍「横浜ノース・ドック」の正門入口(深水千翔撮影)。

 外国貿易設備の工事はその後も続き、1949(昭和24)年度までに完成する計画でしたが、太平洋戦争と日本の敗戦が瑞穂埠頭の運命を大きく変えることへ繋がります。

 横浜市に進駐したアメリカを始めとした連合軍は、横浜税関本庁舎に総司令部を置き、戦艦「ミズーリ」で降伏文書が調印された1945(昭和20)年9月2日から、大桟橋(サウスピア)、新港(センターピア)、山内、高島、瑞穂(ノースピア)といった埠頭と港湾施設の9割を接収。その管理運営も連合軍が実施するとしました。

 これにより横浜港は商港としての機能が完全に麻痺し、港を中心とした経済活動を担っていた民間企業も東京などに転出したことで、横浜市は復興が大きく遅れることになります。

【なくなる前に行ってみた!】瑞穂埠頭に残る貨物専用線の面影を歩く(写真)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号