ニッポンの「造船」に追い風 見えている“新造船ラッシュ”な世界 でもいまいちシャキッとしないワケ

海運市況の好調で、停滞が続いていた日本の造船業界に明るい兆しが見えています。環状対応の流れもあり、今後ますます新造船の需要が見込まれるなか、日本は“造船大国”を取り戻せるのか、それを左右する課題のひとつが、人手不足です。

このままでは指をくわえて見てるだけ?

 さらに、活況を呈する外航船とは裏腹に、国内の海上物流を支える内航船の受注もまだまだ厳しい状況です。背景には用船料が鋼材価格や資機材価格などの高騰を反映したコストと船価に対応できるレベルに上がらず、船主などが発注に踏み切れないという事情があります。

 また、造船業界では現場と設計の双方で高齢化が進んでいるだけでなく、若手の採用が難しくなっており、人材確保が最重要課題として掲げられています。当然、船舶の航行を支えるエンジンや配電盤、計器などを製造する舶用企業にとっては、日本の造船所が安定的に受注していくことが非常に重要です。

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三菱重工業下関造船所で建造中の「さんふらわあ むらさき」(左)と「さんふらわあ くれない」。いずれも日本初のLNG燃料フェリーとして2023年デビュー(深水千翔撮影)。

 日本舶用工業会の木下茂樹会長(ダイハツディーゼル会長)は「2030年以降、年間1億総トンレベルの建造になった場合、人材の確保、新燃料技術の対応、そして我々が製造する機器の供給の確保など、たくさんの課題が出てくる」と述べた上で、目指すべき船舶産業の姿を明確化するため国土交通省が設置した「船舶産業の変革実現のための検討会」に期待感を込めました。

 2023年6月にはジャパンマリンユナイテッド(JMU)呉事業所で世界最大級となる2万4000TEU型コンテナ船「ONE INNOVATION」が引き渡されました。同船は政府系海外向けインフラファンド、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が建造費用の一部を出資しており、国をあげて日本の海事産業を強化しようという動きの一環です。今後、日本の造船業が復活していくのか、2023年は大きく動き始めた年となったのかもしれません。

【了】

【何このデカさ!!??】6月竣工 もう日本に戻って来れない「世界最大級のコンテナ船」(写真)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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