どうする「戦車動物園」 ウクライナ復興のカギになる車種整理 自国開発か欧米製導入か
復興へ向けた3つの選択肢
防衛力復興の課題は、この動物園状態の整理です。現在は戦時下であり短期的には目をつぶらなければなりませんが、これでは兵站面からも持続的な防衛力にはなりえません。整理するにはどんな方法があるのでしょうか。
方向性ははっきりしており、旧ソ連・ロシア系列に戻らずNATO標準に準拠していくことです。しかし、それはハード、ソフトを大幅に転換する大事業になります。
第一の選択肢は、欧米製の戦車にそっくり入れ替えることです。どの戦車を選択するかが問題ですが、有力候補なのは市場に多く出回っているレオパルト2でしょう。ただし需要を賄えるかはわかりません。新車もすでにノルウェーが発注しており納期がかかるうえ、コストは天文学的な金額になるでしょう。
第二の選択肢は、このまま絶対数の多いソ連時代の装備を運用し続けることです。ただしNATO標準に合わせなければなりませんので、戦車の主砲を125mm砲から120mm砲に換装するなどの改修が必要になります。規格の違う東西の兵器を融合させるという技術的な困難がありますが、ウクライナには戦車を生産、改造、修理ができる工業基盤があり、実際に旧ソ連製のT-84戦車にNATO標準の120mm砲を搭載して輸出しようとした「ヤタハーンプロジェクト」というのがあったので、実行可能です。
第三の選択肢が、T-64のように自国開発することです。しかし現代は一国で主力戦車を開発するのは困難で、国際的なパートナーを求めるのが一般的です。すでにいくつかの動きがあり、この選択肢に一番実現性があるでしょう。特にレオパルトのメーカーであるドイツのラインメタルの動きが目立ちます。
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