レオパルト2もブラッドレーも敵わぬ“穴” 地味でも手強いロシアの「工兵」は何者か

心理的ダメージも与える地雷原

 ロシア軍は基本、攻勢指向の性格ですが、防御を軽視しているわけではなく、教本(マニュアル)では前進を停止したらすぐその場に塹壕を掘り、占領している間は工兵の支援が無くとも常に補強を続けるように規定されています。陣地をいったん確保すれば、12時間である程度の塹壕を完成させます。ウクライナ軍は欧米から兵器を受け取り、そして兵士を訓練し、時間をかけて反攻を準備してきましたが、これは同時にロシア軍にも防御を固める時間があったことを意味します。

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ロシア軍が大量に使用していると思われるTM-62M対戦車地雷。圧力信管で7.5kgの爆薬を炸裂させる。人が乗った程度では作動しない(画像:ポーランド国防省)。

 こうした防御点からロシア軍を追い出すには、歩兵と戦車や装甲車、砲兵、航空戦力の諸職種の連携が不可欠ですが、オープンフィールドを前進せざるを得ない戦車や装甲車は目立ちます。地雷原の啓開作業は、専用機材を持つ工兵車両が、敵に探知されて反撃を受ける前に奇襲的に行うのが一番効率的ですが、現代ではドローンが常に地雷原を監視しており、奇襲はほとんど不可能になっています。

 ウクライナでは、地雷原が数千平方キロメートルにわたって敷設されているといわれます。地雷原は処理されても再敷設が比較的簡単ですし、啓開したように見えてもそれが完全かは保障できません。疑心暗鬼になったウクライナ軍の前進速度を鈍らす効果は高く、そもそも敷設されているらしいとの情報だけでも心理的に行動が制約される厄介な代物です。

 こうした地雷原を突破するには、砲兵や航空戦力の支援のもと、地雷処理車を先頭に損害覚悟で力押ししていくしかありません。ただし続行する戦車や歩兵部隊も啓開された狭い通路に集まらざるを得ず、しかもロシア軍の防御点は木立や丸太で隠されており発見は困難で、ウクライナ軍は自由の利かない地雷原の中で不意急襲を受けるリスクがあります。そこを攻撃されれば、冒頭のような惨状となってしまうわけです。

【写真】これがロシア軍「工兵」の姿です

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コメント

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1件のコメント

  1. 92式地雷原処理車「呼びました?」

    多分HIMARSを1発撃つよりも安価に進路を啓開できますよ。