「これからは航空事業だ!」世界の海運大手が航空貨物に続々進出 両刀使い定着の会社も 日本は?
設立から1年で約20機にまで事業拡大
デンマーク海運大手のAPモラー・マースクも2022年4月に「マースク・エアカーゴ」を立ち上げました。ハブはデンマークのビルン空港に置いていますが、グリーンビル・スパータンバーグ(アメリカ)と瀋陽桃仙(中国)を結ぶ直行便や、フランクフルト~メキシコシティ便、フランクフルト・ハーン~O・R・タンボ(南アフリカ)便などの路線も運航しています。同社のフリートはボーイング767-300F型貨物機6機と767-200型貨物機13機で構成されており、2024年までに777F型貨物機2機が新たに加わる予定です。
マースクは元々、航空事業に関心を持っており、マースク航空を設立し1970年からフォッカーF27旅客機などを使用して運航を始めました。航空貨物にも進出しようとしたものの、当時はスカンジナビア航空のようなフラッグキャリアの力が強く、さまざまな規制もかけられていたため、ボーイング747F型貨物機の導入は断念。ボーイング737型シリーズなどを使用した旅客輸送に集中することになりますが、2005年にスターリング航空へ売却され、一度「マースク」の名前は機体から消えます。
一方でマースクは、1987年に子会社として航空貨物も手掛けるスターエアを発足させます。こちらは物流大手のUPSやフェデックスなどと契約し、欧州域内の貨物輸送を手掛けてきました。2022年にこのスターエアから業務が移管されて生まれた会社が「マースク・エアカーゴ」なのです。
ちなみに、マースクは年間航空貨物量の約3分の1を自社で管理する貨物ネットワークで輸送することを目標に掲げています。これは、貨物船隊と同じように自社保有機とリース機の組み合わせによって達成するとしています。
また、世界最大のコンテナ船社MSCは2022年9月に海上コンテナ輸送を補完するサービスとして「MSCエアカーゴ」を発表しました。ボーイング777F型貨物機4機を導入する計画で、運航はアトラスエア(アメリカ)が行います。すでに1機目となる777F(登録記号N707GT)の運用を始めています。これは、航空貨物市場にMSCが参入するための最初のステップで、同社では航空貨物の事業拡大に向けてさまざまな手段を引き続き模索していくそうです。
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