「これからは航空事業だ!」世界の海運大手が航空貨物に続々進出 両刀使い定着の会社も 日本は?
台湾初の民間国際航空会社も
日本でも馴染みがある企業といえば、台湾を代表する企業であるエバーグリーングループ(長栄集団)のコンテナ船社エバーグリーン・マリンと航空会社エバー航空でしょう。
エバーグリーングループは、同グループの創設者で総裁を務めた張栄発氏によって1968年に設立された長栄海運をベースに発展した世界屈指のコンテナ船社です。
さらに中華航空(チャイナエアライン)が独占していた台湾の航空業界にも進出し、1989年3月には台湾初の民間国際航空会社となるエバー航空を立ち上げています。同社は1991年7月にボーイング767-300ER型機で運航を開始し、シンガポールやバンコクといったアジア各国の都市に就航。同時に長距離路線用の機材として「ジャンボジェット」の名で知られるボーイング747-400型機や、3発機であるマクドネル・ダグラスMD-11型機を発注しており、1992年から1993年にかけてロサンゼルス、ニューアーク、ウィーン、ヒースローへとネットワークを拡大していきました。
2023年5月時点のエバー航空は旅客機78機と貨物機8機の計86機を保有しています。加えて現在、新機種としてボーイング787シリーズの導入を進めており、2027年末までに787-9型機を9機、787-10型機を5機追加する予定で、さらにボーイング777F型貨物機1機も発注しています。
ちなみにエバーグリーンは東京港に、エバー航空は羽田空港に就航しているため、同じグループが運航するコンテナ船と旅客機をそれぞれ見ることができます。
このように船と飛行機の両方を手掛けている企業はありますが、その状況はさまざま。エバーグリーングループのようにコンテナ船と旅客機、貨物機の事業が根付いた会社もあれば、マースクのように紆余曲折を経て「マースク・エアカーゴ」を作った会社もあります。海運と航空を組み合わせたサービスがこのまま定着していくのか、筆者(深水千翔:海事ライター)は注目しています。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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