鉄道誕生から延々つづく「二重行政」とは!? 役人の縄張り争いに"手打ちの条件"…非効率生んだ「2つの法律」
「地下鉄は軌道だろ!…やっぱり鉄道です」新線建設は政治に翻弄
鉄道と軌道の対立は、地下鉄を舞台に"再燃"します。戦前に開業した2つの地下鉄は、東京の銀座線が地方鉄道法、大阪の御堂筋線が軌道法に準拠して整備されました。御堂筋線はその名のとおり、地上の道路「御堂筋」と一体的に整備したことから、道路(の下)を走る軌道であると整理されたのです。
戦後、他都市でも地下鉄整備が始まると、今後の地下鉄はどちらのパターンを適用するかが問題になります。というのも、地方鉄道法は「運輸省」の主管ですが、軌道法は内務省から都市計画や公共事業を引き継いだ「建設省」が共同所管していたからです。
そのため地方鉄道法で免許申請された名古屋市営地下鉄をめぐり、「ほぼ全線が道路下を走る地下鉄は軌道であり、軌道法で申請しなおせ」と建設省が主張する事態となります。最終的に運輸省と建設省は「今回は地方鉄道法とするが、先例にはしない」という、玉虫色の決着が図られました。
続く札幌市営地下鉄も運輸省と建設省の"縄張り争い"に巻き込まれ、最終的に国会議員の仲介で地方鉄道法に決定するも、「メンツをつぶされた」建設省が建設工事に事細かに注文をつけてきたという逸話も。その後の横浜市営地下鉄、神戸市営地下鉄は、丁寧に説明を尽くした結果、両省の了解のもと地方鉄道法が適用されています。
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