プロペラの裏からズドドドド なぜ可能? 零戦などの機銃が「プロペラを撃ち抜かない」仕組みとは?

第二次世界大戦末には時代遅れになりつつあった?

 この機体が登場する以前は、各国の戦闘機はプロペラを撃ち抜かないよう、プロペラに当たっても弾く構造にしようと防弾板をつけたものや、プロペラを後ろに付けた機体もありました。ただし後者は離陸時の機首上げでプロペラを擦るリスクもありました。

 これらの機体は性能的にはイマイチで、1915年7月にフォッカー単葉機が登場すると、イギリス、フランスなどの連合国はその優秀な戦闘機に対抗できず、あっという間に制空権を取られていまいます。これを、イギリスのメディアは猛威を振るったフォッカー単葉機にちなみ「フォッカーの懲罰」と呼びました。

 第二次世界大戦の戦闘機にもこの同調装置は再び使用されますが、その時代は航空機の重防御化が進でおり、りゅう弾などを使える威力の高い口径20mmクラスの機関砲を備える必要に迫られます。しかし機首に大型の機関砲を備えると、同調装置の故障時に威力が強すぎるため、プロペラの破損以外にも致命的な事故を起こす危険性があるうえ、そもそもエンジンが邪魔になり、そこまで大型のものを取り付けることも難しい状態でした。

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Bf109のプロペラ中央に開いた穴は、シャフトではなく実は機関砲の砲口(画像:アメリカ空軍)。

 その問題を解決すべく、フランスやドイツでは、プロペラシャフト(駆動軸)を中空構造にして、その中に機関砲を通し砲弾を前方へ発射するという「モーターカノン」といった装置も誕生します。また、アメリカやイギリスではブローニングM2重機関銃を航空機銃にした12.7mm機関銃を多数、翼内に搭載する方法なども採用。時代はジェット機時代が到来する直前でしたが、ジェット戦闘機登場以前に同調装置は古い機構になりつつありました。

【了】

【え…】これなら機銃を通せるのも納得な珍エンジン(写真)

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