「零戦を再び日本の空へ」が難しい理由 コスト以外にもある“壁” ただ保存機にとってはメリットも

欧米では、動態保存されている昔の軍用機が有料のエアショーで飛行し、観客の目を楽しませていますが、日本には動態保存されている例がありません。なぜ、日本では零戦など昔の飛行機が、エアショーで飛んだりしないのでしょうか。

「量産機以外」は耐空証明をとれるのか?

 一応、例外規定も存在し、耐空証明の必要性を定めた航空法第11条第1項には「但し、試験飛行等を行うため国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない」となっています。しかし、これは自作機や試験機など、オンリーワンの航空機を念頭に置いた規定です。こういった機体のことを、外国では「エクスペリメンタル」機と呼んでいます。

 日本において、エクスペリメンタル機に対して用意されているのが、JAとは別の「JX」で始まる登録記号です。航空機の性能は実際に飛ばしてみないと詳しく判別できないため、その試験飛行を可能にする登録制度となっています。

 ウォーバーズなどの復元機も、設計・製作段階での基準を満たせば「JX」登録が可能です。こちらは量産機が前提のJA登録と比較するとハードルは低くなっていますが、これはこれでまた試験飛行に関する日本独特の制度がネックになっているのです。

 それは、あくまでも「試験飛行」なので、飛行場の周囲でしか飛べないこと。また飛行に際しては、飛行する時期や使用する飛行場、操縦者などを国土交通省航空局に申請し、許可を得なければなりません。そのため、有料のエアショーをはじめ遊覧飛行、映画やドラマの撮影協力で飛行するなど、飛行そのものをマネタイズすることも禁じられています。

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アメリカの民間団体CAFが動態保存する零戦二二型とF6F-3(画像:アメリカ空軍)。

 別の場所へ飛んで行くこともできず、飛行もマネタイズできないとなると、ウォーバーズ復元機の維持費をまかなうことは困難。これらを鑑みると、エクスペリメンタルの「JX」登録は、不自由な点が多すぎると言えるでしょう。

 では、欧米のエアショーなどで飛んでいるウォーバーズは、一体どんな仕組みになっているのでしょう。イギリス空軍やオーストラリア空軍では、ウォーバーズを動態保存し続ける専門の部隊を編成することで、各地のエアショーや国家行事において昔の機体を飛ばしています。その一方で、アメリカを筆頭に多くのウォーバーズは民間団体や個人が所有しています。

 例えば、映画『トップガン・マーヴェリック』に登場したプロペラ戦闘機P-51「マスタング」。これは主演のトム・クルーズが個人で所有しているものです。このほかにも海外では戦闘機だけでなく、B-17やB-29のような大型爆撃機、そしてMiG-29のようなジェット戦闘機も民間登録で空を飛んでいます。

【えー】もはや別モノ! 復元「ウォーバーズ」のコックピットほか(写真)

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