飛行機の方が早いよね? JR最長特急「にちりんシーガイア」なぜ存在 約6時間乗り通してみた
延岡ユーザーが多い?
小倉で進行方向が変わると、DXグリーンは乗務員室の窓を通じて前面展望が楽しめるようになります。8時51分着の行橋駅や、9時9分着の中津駅は高架化され、新幹線の駅のようです。9時52分着の別府駅では10人以上が降車しましたが、それほど列車内に動きはありません。車窓は別府湾の海の風景が美しいです。
10時8分、大分駅着。30人ほど下車しただけで、乗車率は5割程度をキープしていました。「大分以南に乗り換えなしで行く乗客」が一定数いることがわかります。
大分駅を出ると、大分川、乙津川、大野川の橋梁を立て続けに渡り、幸崎駅付近から佐賀関半島の山越えを行います。佐志生駅付近からはまた海が見え、景色が変わって退屈しません。乗客は11時6分着の佐伯駅で若干降りたくらいで、車内にあまり動きはありません。
佐伯駅を出ると、再び山越えとなります。「宗太郎越え」で知られる山岳区間で、名前の由来となった宗太郎駅は、列車は1日に下り1本、上り2本しか停車しません。隣の駅まで7kmはあるので、観光列車「36ぷらす3」以外では、訪問が難しい秘境駅です。
山越え区間を過ぎると、12時8分に延岡駅着。かなりの人数が下車します。12時12分着の南延岡駅と合わせて、需要の中心と感じました。
未来的なデザインの日向市駅には12時25分着。数人が乗降します。美々津駅を通過した辺りから、車窓にリニアの線路が並行。1996(平成8)年まで実験走行が行われ、現在は線路上が太陽光発電所に転用されています。
高鍋、佐土原の各駅ではほぼ乗降がなく、13時10分に宮崎駅着。ここでグリーン個室を含むかなりの人数が下車し、列車はガラガラに。筆者の主観としては、2~3割くらいが博多からの長距離客と感じました。13時15分、南宮崎駅に到着。10人ほどが下車しました。
宮崎空港の旅客機を眺めつつ、13時19分、宮崎空港駅着。5時間48分と長丁場でしたが退屈せず、DXグリーンなら快適で全く疲れが残らないことに驚きます。ただ、車内販売などはないので注意が必要でしょう。
総じて考えると、「にちりんシーガイア」は博多発着の宮崎空港連絡特急というより、宮崎県内の主要駅のニーズを細かく汲み取る乗り換えなしの直通列車として、存在感を示しているのではないでしょうか。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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