ラビューの「丸すぎる頭」大変じゃない? ロマンスカーに肘掛けないのは? 小田急と西武“中の人”対談
「GSE」「ラビュー」の開発苦労話
続いて車両開発時のエピソードを、岩崎氏も山下氏も熱を込めて語りました。まずは「GSE」についてです。
「お客様アンケートを踏まえ『心を動かすロマンスカー』をコンセプトとしています。『GSE』では定員400名を確保するため、客室を広く取れるボギー台車を採用しました。ホームドア設置を踏まえて、側扉位置を一般車と揃えています」
「苦労したのは展望車。見通しを考え、荷物棚を設けませんでした。この場合『どこに荷物を置くのか』が問題となります。ヒーターを工夫し、座席下に航空機並みの荷物を入れられるスペースを確保しました」(岩崎課長)
次に「ラビュー」について山下氏は以下のように話しました。
「初期デザインでは、窓ガラスも車体と一体でした。社内では『ロケット』『ボラギノール』『ナマズ』『本当に作れるのか』といった意見が出ました。メーカーからは『実現は難しいが、挑戦したい』との意見を頂き、私は『実現すれば成功する』との確信を持ち、妹島デザイン事務所と詳細部分の確認を重ねて、実現に向けて動きました」
「また『風景が写る塗装』とはどんな塗装なのか検討を重ねました。一見銀色に見えますが、何層も重ねてあの色を出しています。距離や明るさごとにどう見えるか、空などの色が写りこむか、確認したのです。デザイナーの妹島和世先生は『電車の外観には字や絵がない方がいい』とおっしゃいました」
「難しかったのは前頭部です。ラビューではアルミの塊を85%ほど削り、真円に近い形にしました。より困難なのは、その前頭部に合った真円のガラスです。20~30枚作って、1枚しか使い物にならないのです」
「車内は、妹島先生の『西武は黄色』を反映しました。側窓上の荷物棚は、弊社(必要)と妹島先生(不要)とで意見が分かれ、結局ガラス製の透明なもので存在感をなくしています。側窓は妹島先生が『窓と車体の色を同じにしてほしい』と要望されましたが、ガラスを着色するわけにもいかず、縁にドットを付けています」
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