ラビューの「丸すぎる頭」大変じゃない? ロマンスカーに肘掛けないのは? 小田急と西武“中の人”対談

ワイパーはフランス製という共通点

 トークショーの最後は、両社がお互いに質問する時間に。小田急電鉄の岩崎氏が「『ラビュー』の丸い前面ガラスのワイパーは苦労されなかったのですか」と質問します。

 西武鉄道の山下氏は「ラビューの前頭部窓は、半径1.5mのガラスをくりぬいたものです。日本ではワイパーが作れず、フランス製を採用しました。空気式の強力なものです。壊れたら部品取り寄せも大変ですが、これしか拭けるものがありません」と返答。

 岩崎氏は「『VSE』も当初フランス製ワイパーでしたが、後に日本製へ変えています」と解説しました。

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ロマンスカーミュージアムにて(2023年8月5日、安藤昌季撮影)。

 山下氏からは「展望席を実現する技術が興味深いです。床下など低くなっており、技術的な課題はどうなのでしょうか」と質問が出ます。

 岩崎氏は「展望席設置で苦労するのは『高さ制約』です。身長1.5~1.9mの人が乗務できるよう、床下の車輪を860mmから810mmに縮小し、空間を確保しました」と回答しました。

 さらに山下氏は「ロマンスカーには座席の真ん中に中間肘掛けがないですよね。どんな意図なのですか」と質問。岩崎氏は「ロマンスカーは、2人掛けで座席を共有しているロマンスシートを車内に取り付けたことがスタートです。肘掛けを付けるとロマンスシートではなくなってしまうので、伝統を守っています」と答えました。

 なお、筆者(安藤昌季:乗りものライター)が山下氏に「ラビューはなぜ地下鉄直通仕様なのですか」と質問したところ、山下氏は「西武の車両は今後、基本的に地下鉄に直通できる仕様にするという方針です」との返答を頂きました。

【了】

【えぇ、座薬みたいだと!?】まさか社内からも出ていた「ラビュー」へのネガティブ意見とは

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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