世界を凌駕? 日本の「水上機」実力比較 旧海軍のこだわりには“悲しい現実”も

二式飛行艇と似た形 でも性能は劣った米英機

 二式飛行艇とよく似た形状をしているのが、イギリスの「サンダーランド」飛行艇です。同機は、九七式飛行艇や二式飛行艇と同じく4発エンジン機ですが、最高速度は336km/h、航続距離は4640kmで、武装も7.7mm機銃8丁、兵装搭載量も爆弾907kgと二式飛行艇よりも数段劣るものでした。

 アメリカが太平洋戦争で多用したのが、PBY-4「カタリナ」飛行艇です。同機は97式飛行艇とほぼ同世代で1936年に運用を開始しましたが、エンジンは双発で最高速度は312km/h、航続距離は6614kmでした。

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旧日本海軍の二式飛行艇(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 なお、アメリカには大戦後期に採用したJRM「マーズ」という大型の4発飛行艇もあります。しかし、最高速度は359km/hにとどまり、航続距離も5695kmと短かっため、スペックを比較すると二式飛行艇の性能が図抜けていることがわかるでしょう。

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 こうして、個々の水上機を改めてスペック(数値)で比較してみると、日本の水上機が多くのジャンルで頭ひとつ以上抜けて高性能なことがわかるでしょう。それぞれの国で運用思想が異なるため、必ずしも同一ジャンルの機体とはいかなかったものの、目安にはなると思います。

 日本の開発した水上機は、全般的に見て、世界有数の性能を有していたのは間違いありません。ただ、これも水上機どうしで比べたらの場合です。飛行場設営能力が高ければ、水上機にこだわる必要もありません。また空母を数多く揃えられれば、そのぶんだけ艦載機に力を入れることが可能です。その点を鑑みると、日本が水上機にこだわったのは、アメリカのように「機械化」が進んでいなかったからの裏返しだったといえるのかもしれません。

【了】

【名機「零戦」のフロート付き!】二式水上戦闘機とそのライバル「ワイルドキャットフィッシュ」を見る(写真)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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