レオパルト2×ルクレール=欧州スーパー戦車!のはずが… 独仏共同開発に暗雲、なぜ?
レオパルト2(改)ではダメなのか
しかし兵器の国際共同開発は利害の衝突で失敗する場合も多く、旧西ドイツとアメリカが共同開発したMBT-70(西ドイツ名称:KPz.70)も、1964(昭和39)年から1971(昭和46)年まで7年の歳月と多くの開発費と費やして、結局は決裂、中止となりました。西ドイツは同時期にレオパルト2の開発も進めており、Kpz.70の保険をかけていたようにも見えます。
そしてMGCSの開始から6年を経た2023年、9月4日付ドイツの経済日刊紙『ハンデルスブラット』は、ドイツの政府関係者や産業界を引き合いに出し、「MGCSは失敗寸前であり、パリとベルリンの“違い”はあまりにも大きすぎる」と報じました。
フランスでは、稼働率が低下する一方であるルクレールの更新問題が焦眉の急となっています。フランス元老院(上院)は、ルクレールの近代化改修案(Mk3)を含めた予算修正案を国民議会(下院)に提示しますが採択されず。これは、MGCSの2035年配備開始を期待して予算を節約したい軍事大臣の要請によるものでした。MGCSへの期待には切迫感さえあります。
一方ドイツでは、レオパルト2の需要が国際市場で高まっており、最新型2A8もすでに生産軌道に乗っています。2023年2月にはノルウェーから発注を受けているほか、イタリアも国産のC1アリエテ戦車の延命を模索しつつ、2024年から125両以上の2A8を購入する計画があることをイザベラ・ロウティ国防次官が7月に明らかにしました。またリトアニアも、2A8を最近発注したと報じられています。
レオパルト2の好調な販売実績から、ドイツ議会では野党を中心に「欧州標準戦車はレオパルト2の改良型で充分ではないか」との声が強くなっており、MGCSへの熱量は低く予算配分が危うくなってきています。
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