「関門海峡」寸断したらどれだけヤバい? もう1本の橋「下関北九州道路」実現なるか 関門橋開通から半世紀
「関門海峡寸断」のほうがダメージ大きい?
下関北九州道路は2020年に、国の委員会で概略ルートが決定しており、下関と門司を結んでいる既存ルートよりも西側を通って、下関市内の彦島と、北九州市街地の小倉を直結します。延長は約8km。活断層の影響を考慮して、海峡部は約2.2kmの吊り橋とされています。関門橋よりもずっと長い橋になる見込みです。
渋滞緩和や移動時間の短縮などもさることながら、この道路で一般の人から「特に重視すべき」との声が大きいのが、関門橋や関門トンネルの代替路という観点です。
どちらも、老朽化にともなう補修工事が多くなっているほか、事故などでどちらかが通行止めになった際に大渋滞が発生し、相当な時間を要したという経験を持つ人が少なくないのです。計画段階評価の意見聴取では、関門トンネルの片側通行規制時に関門橋が通行止めとなった際、路線バスで最大8時間の遅延が発生したという意見もありました。
地元の経済団体などからなる下関北九州道路建設促進協議会(会長=倉富純男九州経済連合会会長)は2023年8月、国に対し同道路の早期実現に関する要望書を提出しています。それによると、「関門トンネル及び関門橋が交通遮断された場合の経済損失額は1年間に約14兆円(間接被害のみ)」との試算です。
関門橋、関門トンネルを利用する交通の約8割は広域交通で、この部分が通行止めになると、その影響は全国の1日約7万台に波及する可能性があるともされています。下関北九州道路によって利便性が向上することによる経済波及効果も取りまとめられていますが、それ以上に、いまある2ルートが失われることへの危惧が大きくなっているのかもしれません。
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