「東京~大阪たった10分」自衛隊が半世紀前に成功!? F-104J戦闘機“理想の”超音速飛行 その舞台裏

これが当初の理想? 空自のF-104運用法

 観測された時刻は串本通過が16時16分5秒。大島通過が16時26分26秒でした。串本から大島までの距離は395km。これは東京から大阪の直線距離と等しく、F-104Jはこの間を10分21秒で飛んだというのです。

 当時の経路上の風は風向253度で147km/h(外気温はマイナス59.6度)。記録飛行の対地速度は2295km/h、対気速度は2148km/h。これを音速(温度によって多少の差あり)に換算し直すとマッハ2.08でした。飛行高度は1万7000m以上で、全区間にわたりほぼ海上を飛行したため、地上への影響は僅少であったと想像されます。

 このとき用いられた戦闘機F-104「スターファイター」は、実用機として初めてマッハ2の速度を維持して飛行することを可能にした航空機です。そのため、航空自衛隊のF-104Jが前出の記録を達成できたのは、その能力を如何なく発揮したからだといえるでしょう。

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1982年10月16日、カリフォルニア州のポイントマグ―海軍航空基地で撮影したF-104G戦闘機。アメリカ空軍のマーキングが施されているが、機体自体は旧西ドイツ空軍のもので、訓練用に米本土に配置されていた機体である(細谷泰正撮影)。

 1966年当時、日本において新鋭の主力戦闘機として配備が進められていたロッキードF-104Jは、NATO(北大西洋条約機構)諸国向けのタイプであるF-104Gから爆撃能力を取り外して空対空戦闘専用機としたモデルです。航空自衛隊では複座型(F-104DJ)を含み230機を調達しています。

 航空自衛隊においてF-104は、最も得意とする高高度への上昇と高速飛行を活かした迎撃専用機として運用されました。これはF-104を設計したロッキードの名技師ケリー・ジョンソンが意図した当初の目的に最も近かったのではと筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は考えています。

 冒頭に記した、東京~大阪間に匹敵する距離を速度マッハ2で、時間にしてわずか10分強で飛び抜けたというのが、まさにその理念を体現しているといえるのかもしれません。

【了】

【往時の飛行シーン!】航空自衛隊のF-104Jが飛ぶ姿を前後左右からイッキ見(写真)

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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