何の意味が?「戦車に金網」取り付けるワケ 撃ち抜かれて終わり…とは限らない命守る工夫だった!

戦車を始めとした戦闘車両に装甲板を後付けして防御力アップを図ろうとするのは、昔も今も変わりません。しかし、なかには向こう側が見通せるような金網や格子状のものを付けたパターンも。それで防御力向上など図れるのでしょうか。

個人で戦車を倒せるようになったのが契機

 化学エネルギー弾は高速性が求められないので、発射装置も大型化する必要がないというメリットがあります。そのため、成形炸薬弾の登場は、小型軽量の小銃てき弾やバズーカ(対戦車ロケット発射機)などといった、歩兵携行対戦車兵器の発達を促しました。

 ゆえに、ウクライナ紛争で知られるようになった個人携行型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や、肩撃ち式のてき弾発射器(正確にはロケット発射機ではなくてき弾発射無反動砲)「RPG-7」などは、この成型炸薬弾を用いる構造です。

 しかし成形炸薬弾には大きな弱点がふたつあります。

 ひとつは、浅い角度で装甲板に命中すると、起爆しても装甲貫徹力が大きく削がれる点。そしてもうひとつが、装甲板に対して適正な距離で成形炸薬が起爆しないと、装甲貫徹力がほぼ失われてしまう点です。これを「スタンド・オフ」と称し、「スタンド・オフを狂わせて装甲貫徹力を減衰させる」というように用いられます。

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ウクライナ軍のBMP-2歩兵戦闘車。格子状の金属板を取り付けているのがわかる(画像:ウクライナ国防省)。

 このうち、特に後者の事実を成形炸薬弾の防御に利用しようと、第2次世界大戦中のドイツ軍は「シュルツェン(ドイツ語で「エプロン」の意)」と呼ばれた薄い金属板を、車体から一定の間隔をとって砲塔周りや車体側面などに取り付けました。

 なお、シュルツェンは、単に成型炸薬弾に対する防御だけでなく、当時ソ連軍が多用していた対戦車ライフル弾の威力を減衰させたり、本体の装甲に比べて脆弱な視察口や可動部などを狙いにくくさせたりする効果も併せ持っていました。

 しかしそのうち、成型炸薬弾を防ぐには金属板でなくてもよいとなります。なぜなら、前述のように車体や砲塔と適正な距離さえ保っていればスタンド・オフが狂って無力化できるとわかったからです。

 そこで、鋼板を節約する観点からも、シュルツェンは金網製となりました。たとえ金網でも、これに当たった成形炸薬弾はスタンド・オフを狂わされた状態で起爆。その結果、肝心の車体そのものの装甲は貫徹されずに済みます。

【もはや“檻”!?】巨大な金網の「箱」と化したウクライナ軍自走砲ほか(写真)

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