「特産品で兵器買わせて!」実はロシアだけではなかった 兵器の物々交換の実態とは

コーヒーで兵器を入手しようとしたケースも

 またサウジアラビアも、原油をアメリカに供給する代わりとしてアメリカ製の兵器の購入や安全保障面の支援を受けるという相互依存の関係を続けてきました。2010年代以降は、原油価格の上昇により、アメリカがそれまでコストが高いとしてきたシェールオイルの生産に乗り出し、関係には若干変化が起きていますが、依然として重要な関係であることは間違いありません。

 さらに、サウジアラビアはイギリスとも戦闘機の購入資金の代わりに、相応の原油を供給するという取引で、1985年に「トーネード」を96機、2006年にはユーロファイター「タイフーン」を72機購入する契約を結んだことがあります。この一連の取引は「アル・ヤママ武器取引」とも呼ばれます。

 原油以外のケースとしては、2017年にインドネシアがロシア製のジェット戦闘機であるSu-35Sを11機購入するため、特産のコーヒー豆や茶、パーム油といった農産物との物々交換で対応しようとしたことがありました。当時ロシアはクリミア半島併合などの問題で西側諸国から農水産物の輸入を禁止したことから考え出されたプランでした。しかしこの購入に関しては、ほかの機体との共同運用の問題などで、2020年に棚上げされて以降は進展がありません。

Large 231124 butubutu 02

拡大画像

サウジアラビアがイギリスから購入した「タイフーン」とアメリカから購入したF-15(画像:サウジアラビア空軍)。

 今回ロシアが農作物と兵器の物々交換のような行動をし始めたことで、経済制裁や経済危機が続く国では、兵器購入金の代案として用いる可能性があるかもしれません。例えば、2023年11月19日に政権交代が起きたアルゼンチンは、稼働機がゼロになってしまった超音速の戦闘機購入を急務としていますが、その購入金のかわりとなる大豆、とうもろこし、小麦、大麦、 牛肉などの輸出品が数多くあります。

【了】

【小麦で手を打とう】これが、ロシアが他国から返して欲しい兵器です(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。