膨らむ防衛費で三菱重工「売上高1兆円超」が目前 超速ミサイル イージスシステム搭載艦…続々出てくる新装備

VLS装備の潜水艦、登場するか?

 新型FFMは、三菱重工が主契約者として設計と建造を担い、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)が下請負者として一部の建造を行うことが今年(2023年)8月に公表されています。

 ただ、2023年現在、日本国内における水上艦の新造ヤードは三菱重工長崎造船所、三菱重工マリタイムシステムズ玉野本社工場、JMU横浜事業所磯子工場の3か所しかありません。そのため、同じく建造が決まったイージス・システム搭載艦や新型補給艦、哨戒艦などと共に建造・整備が進められます。2024年度概算要求では、新型FFMの建造費として2隻分1747億円が計上されました。

「水上艦関係ではフリゲートクラスのFFMと呼ばれているステルス護衛艦や音響測定艦などを手掛けている。また、海上保安庁の巡視船も建造している。昨今は艦艇のデジタル化が進んでいるため、運用に関する情報を記録してメンテナンスに活用するサポートセンターも設置した」(江口執行役員)

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現中期防衛力整備計画と、次期中期防衛力整備計画の事業費の伸び方を示したグラフ。次期防衛力整備計画では7つの重視分野が設定されている(三菱重工の事業説明会用資料より)。

 射程1000kmを超えるとされる12式SSMの能力向上型に関しては、イージス・システム搭載艦や新型FFMのような水上艦をはじめ、潜水艦や陸上車両、戦闘機に搭載することを想定しており、昨年度から開発契約が結ばれています。なお、潜水艦から発射するタイプの対艦誘導弾(いわゆる潜対艦ミサイル)に関しては、潜航中に発射する新システムとしてVLS(垂直発射装置)などが考えられるため、ひょっとしたら将来の国産潜水艦でVLS装備のタイプが登場するかもしれません。

 ちなみに、江口執行役員の説明では、防衛事業の拡大に向けて装備品の海外移転についても積極的に行っていきたいと述べていましたが、「防衛省が想定しているものは、いわゆる攻撃的な装備ではない」と説明。合わせて「監視で使うことが主体になるので、潜水艦や水上艦に関して言えば武器は搭載しているが、基本パトロール用なので、一つの分野としてあり得るのではないか。ミサイルや戦車、戦闘機は若干攻撃的な装備品なので、政策がそういうところもカバーして良いということにならないと、入っていけない」とも述べていました。

【了】

【こんなに開発すんの!?】一目瞭然! 三菱重工が今後手掛けるさまざまなプロジェクト

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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