アメリカの虎の子?「ヴァージニア級原潜」が世界の抑止力のカギになる理由 就役もう21隻目

将来に向けたヴァージニア級の兵器開発

 このように、アメリカ海軍の攻撃型原潜の中核を担うことになるヴァージニア級は、当然ながら先進的な兵装を目指しています。

 海軍がアメリカ陸軍と共同で開発中の長距離極超音速兵器LRHW、計画名「ダーク・イーグル」は射程2875km、マッハ17という高性能を誇るミサイルです。アメリカ海軍はこれをまずズムウォルト級ミサイル駆逐艦に導入し、2028年にはヴァージニア級原潜のブロックVに搭載する予定としています。

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2023年3月、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地で試射の準備を行う長距離極超音速兵器「ダーク・イーグル」(画像:アメリカ陸軍)。

 ところが、この「ダーク・イーグル」が試射で当初の性能を達成したのは2回のみだとか。今年(2023年)3月には失敗、それから半年後の9月7日にはトラブルで試射そのものが中止になっており、実用化には問題が残されています。

 加えて、ヴァージニア級には「ダーク・イーグル」の他に、高エネルギー・レーザー兵器が搭載される計画もあります。このレーザー兵器は2022年8月にロッキード・マーチン社が開発した「ヘリオス」で、海軍に納入された後、まずは水上艦の近接防御兵器としてイージス艦に搭載されることになっています。

 ただ、レーザーは水中では拡散してしまうため、水上艦と同じように潜水艦に搭載できるわけではありません。装備するなら潜望鏡と共にセイル(司令塔)に設置するなど、実際の運用までには解決しなければならない課題は多い模様です。

 一方で、膨大な電力を必要とするレーザー兵器は原子炉が動力の原潜にはうってつけの兵器という意見もあることから、「ダーク・イーグル」と共にアメリカ原潜の将来を担う兵器となる可能性は多分にあります。

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