新型「ユーロファイター」は“分身の術”搭載か!? まるで空中妖術合戦な電子戦 高度化する“見えない攻防”
ほとんど忍者!? 見えない戦い
エアバスはユーロファイターEKに、サーブが開発した送信機位置特定システムと、自己防御システムが搭載されると発表しています。
サーブは、敵のレーダー波を探知すると自動的にチャフやフレアを発射して、敵の地対空ミサイルの攻撃から航空機を護る自己防御システムHES-21「シリウス」を実用化していますが、ユーロファイターEKに搭載するものは、これとは異なるようです。
エアバスはユーロファイターEKの自己防御装置について「強力な電磁波の照射により敵のレーダーを破壊する能力も持つ」とし、さらに「2030年を目途にNATO(北大西洋条約機構)から使用認証を得たい」と述べています。このことなどから推察すると、同機にはシリウスではなく、サーブが開発を進めている新たな航空機用自己防御システム「EAJP」か、「アレクシス(AREXIS)」が搭載されると考えられます。
EAJPは敵のレーダー波を検出してチャフやフレアを自動的に発射する従来の機能に加えて、強力な妨害信号を送信して敵のレーダーを破壊する機能も備えています。
アレクシスはEAJPと同様、強力な電波によって敵のレーダーを破壊する機能に加えて、電子的に自機の囮を作り出すという、あたかも忍者のような機能も備えると筆者はサーブから聞いています。
ユーロファイターEKにどちらのシステムが搭載されるかはまだわかりませんが、いずれにせよユーロファイターEKが、電子偵察機とSEAD機に加えて、電子妨害機としての能力も備えた、強力な電子戦機となることは確実だと筆者は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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