新型「ユーロファイター」は“分身の術”搭載か!? まるで空中妖術合戦な電子戦 高度化する“見えない攻防”
対レーダーミサイルは最新鋭 地上のレーダーを確実にたたく?
ドイツ空軍のトーネードECRは、原型機のトーネードIDSに搭載されている機関砲を撤去して、レーダー波を察知・分析するシステム「ELS」(Emitter Locator System)を装備。これにより電子偵察機としての役割と、搭載するAGM-88「HARM」対レーダーミサイルによるSEAD機としての役割を果たしています。
そのトーネードECRを後継するユーロファイターEKは、同様に電子偵察機とSEAD機として運用されることになりますが、SEAD任務に使用する対レーダーミサイルはHARMからノースロップ・グラマンが開発したHARMの発展型「AARGM」に変更される予定となっています。
SEADの概念が定着したベトナム戦争以降、地上のレーダー施設はSEADによる被害を軽減すべく、SEAD機の接近を感知すると一時的にレーダー波の照射を止めて、対レーダーミサイルによる逆探知を困難にしていました。
このためHARMには、外部の電波による支援を得ることなく、搭載するセンサーによって自らの位置や速度を算出し、発射時にあらかじめ設定した目標へと飛翔する「慣性誘導装置」が途中から追加されています。しかし、敵にレーダー波の照射を止められて慣性誘導装置だけを使用した場合、精密な誘導は難しくなっていました。
このためAARGMは、電波源からの電波の発信が停止した場合でも精密誘導を可能とするため、GPS/デジタル慣性誘導装置とアクティブミリ波レーダー画像シーカーを併用する誘導装置WGU-48/Bを採用しています。AARGMの運用能力を得ることで、ユーロファイターEKの地上のレーダーに対する攻撃能力は、トーネードECRに比べて大きく向上するものと思われます。
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