実は俊足! 35周年の快速「マリンライナー」 異形の編成 最高の車窓…なんて楽しいんだ!!

2階席で130km/hを体験できる貴重な区間

 茶屋町駅からは最高速度130km/h区間となり、目に見えて速度が上がります。元になったE217系は最高速度120km/hで、新快速は有料座席Aシートでも2階建てではないと考えるなら、2階グリーン席から見る130km/hの車窓はJR常磐線の特別快速くらいで、レア。座席間隔も首都圏グリーン車やAシートより広く、枕や座面スライドもあって快適です。コンセントはありませんが。

 9時56分発の児島駅からはJR四国の区間となり、瀬戸大橋を通ります。高松行きはグリーン車展望席が先頭なので、瀬戸大橋内の迫力ある風景を楽しめます。岡山行きなら後方展望です。JR四国の広報室も、「推しはパノラマグリーン席からの眺望です」とのことです。

 瀬戸大橋線の児島~宇多津間は、最高速度120km/hと公表されていますが、瀬戸大橋内では騒音対策として最高速度が制限されており、95km/hという資料もあります。筆者(安藤昌季:乗りものライター)がスマートフォンのアプリで計測した際には75km/hまで下がりました。とはいえ単線区間もあり、速度制限もある中で、全体の表定速度が80km/h以上というのは、全国的にもかなり速い走りっぷりといえます。

 瀬戸大橋を渡り終えると「ようこそ四国へ」の看板が出迎え、間もなく坂出駅に到着しました。10時11分に出発した後は、猛然と130km/h運転を開始。スピード感に感動していると10時26分、定刻で高松駅に到着しました。

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瀬戸大橋を渡り終えるころ(2023年12月、安藤昌季撮影)。

 JR四国が所有する唯一の2階建て車両5000系に、運用上で特徴的な点はあるのでしょうか。JR四国の広報室は以下のように回答しました。

「グリーン車以外は、JR西日本でマイナーチェンジを重ねた223系5000番台とほぼ同じ仕様のため、メンテナンス性がよく、品質が安定しています。特徴は2・3・5・7両と様々な両数の編成が組まれる点で、時間帯ごとの輸送へ柔軟に対応しています。JR西日本と異なるのは、車両の部位呼称です。例えばNo.1の車軸といえば、JR四国では運転台を基準に一番前ですが、2階建て車両では運転台と反対側となっているので、メンテナンス時には注意が必要な部分ですね」

 筆者は、車両の快適性や高速性、また瀬戸大橋からの眺望を合わせて考えるなら、「日本有数の乗って楽しい快速列車」だと感じました。

【了】

【瀬戸大橋だ!!】これが展望席からのサイコーな眺めです(写真)

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Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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