自衛隊車両どうしが戦う? 正式受領のウクライナvsなぜか手に入れたロシア 世界に渡る日本車

世界に流通する高品質な日本車

 日本車の品質の高さは国際的に定評があり、多くの日本車が各国の軍隊でも使われています。ウクライナ陸軍もすでに日本のSUVを100台以上使っています。軍用と民需用の区別はありません。

 2005(平成17)年のチャド内戦では、交戦する双方が日本製ピックアップトラックを多用したことから、日本車の代名詞ともなっているメーカー名をもじって「トヨタ戦争」とも呼ばれました。

 戦場での車両需要は旺盛なため、ウクライナ軍は動くクルマなら何でもよいというのが本音でしょう。しかし、日本政府が民需用のピックアップトラックやSUVではなく、自衛隊車両である1/2tトラックや高機動車を提供するのは外交的な意味が含まれています。防衛省・自衛隊がカウンターパートであるウクライナ国防省に軍用車を提供するのは、安全保障協力関係を強めるという明確なメッセージです。

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巡閲用に助手席が外されているが1/2tトラックの内部がよく分かる。悪路の走破から高速道路の巡航にも耐えられる品質を持つ(撮影:月刊PANZER編集部)。

 一方、ロシア軍が高機動車を使っているのは投稿動画を見る限り、日本国内を動揺させるような政治的な意味よりも、単に使い勝手が良いという純粋な現場ニーズからのようです。

 ウクライナ軍に渡された自衛隊車両がどのような評価を現場部隊から受けるかまだ分かりませんが、日本国内用に作られた装備品が、実際の戦場でミリタリーユースとして評価、検証されるのは貴重な機会となるでしょう。しかし同時に、元自衛隊車両が両軍で使われて相まみえることになるかもしれず、複雑な気持ちにもなります。

【了】

【写真】これが“正式に”ウクライナへ渡った自衛隊車両です

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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