自衛隊車両どうしが戦う? 正式受領のウクライナvsなぜか手に入れたロシア 世界に渡る日本車

そもそも自衛隊車両は簡単に渡るものなのか

 1/2tトラックや高機動車などは、自衛隊内の通達で「防衛専用品」とされ、不要となった場合は解体対象物品として「そのまま使用できないか又は復元できないよう破壊、切断等の措置を行う。この際、保全上必要な部位又は悪用されるおそれのある部位は完全に破壊する」と規定されています。「売払いに当たっての事前措置」としては、「陸上自衛隊の使用する標識、その他の製品の標示、銘板、部隊標示及びこれらに類似したものはすべて抹消又は除去する」となっています。

 これら防衛専用品に指定された車両は、用途廃棄されても民間へはスクラップとして売り払われ、日本国内では公道を走れるナンバーを取得することはできません。そのまま使用できないように措置されるため、走行可能な中古車として手に入れるのは不可能なはずです。それがロシアに輸出されて戦場で使用されているとなれば問題です。

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2023年5月24日に防衛省で行われた、ウクライナへの自衛隊車両の引き渡し式(撮影:月刊PANZER編集部)。

 そのため防衛省は調査を実施し、2023年12月15日、2社に契約違反行為があったとする報告書を出しました。これによるとフィリピンでの実地調査において、高機動車を含めた複数車種の自衛隊車両が、不十分な解体・破砕後に現地で再生され、販売されていることが確認されました。しかしSNSに投稿された、ロシアで使用されているとする車両が本当に高機動車なのかは確認できておらず、流通経緯も不明とのことです。

【写真】これが“正式に”ウクライナへ渡った自衛隊車両です

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