「ドイツがヤバい戦車投入してきた!」 無敵のティーガーIに対抗するため慌てて25日で作った自走砲 その威力は
「ティーガーI」への効果は?
SU-152が異例の短期間で完成したのは、既存のKV-1S重戦車のシャーシの基本設計をほぼ変えずに、装甲を施したML-20 152mm榴弾砲をそのままつけるという方式を採用したためです。実はそれ以前にも何度か似たようなコンセプトでの開発計画があり、その蓄積があったからこそ実現した短期間での設計でした。
当初は全く対戦車戦を想定せず開発されたSU-152でしたが、鹵獲した「ティーガーI」を使って、砲の威力を試したところ、2000mの距離から装甲の貫通こそできないものの、砲弾の火薬量によって「ティーガーI」の装甲を粉砕することもでき、砲塔に当たれば、砲塔を根本かから吹き飛ばすことも可能だったようです。
そのため1943年時点で唯一「ティーガーI」の撃破が可能だったSU-152は、早くも2月14日に正式採用され、3月から量産を開始。5月には最初の部隊編成が行われました。
同年7月に行われたクルスクの戦いでは、独立重自走砲連隊に集中配備され、待ち伏せ戦法により、「ティーガーI」やポルシェ製の「ティーガー」をベースとしたフェルディナント重駆逐戦車を多数撃破したといわれています。同戦闘での対戦車戦への貢献によりSU-152は「野獣ハンター」を意味する「ズヴェロボーイ」と呼ばれるようになりました。
生産こそ1943年12月に終了し、その後は順次IS-1重戦車の車体をベースとしたISU-152に置き換わることになりますが、一線級の実力は戦勝終結まで持ち続け、1944年6月22日から開始されたバグラチオン作戦では、本来のトーチカなどで構築された要塞破壊任務に従事。「ティーガーI」の後継車両として投入された「ティーガーII」相手でも、装甲は貫通できないものの、損傷を与えることはできたといわれています。なお、戦後も1960年代近くまで使われました。
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