まず見られない「旅客機自らバック」実はできます! でも“あえてやらない”のには納得の理由が

通常、旅客機は後進せず、バックの際にはトーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されることが一般的です。しかし実は自力で後退することも理論的には可能です。なぜやらないのでしょうか。

物理的にはできる!

 旅客機は実はバックができます。といっても、通常は後進せず、バックの際にはトーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されることが一般的です。なぜ自力でやらないのでしょうか。

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トーイングカーに押されるANA機(乗りものニュース編集部撮影/)。

 この「自力バック」には、着陸後の減速などに用いる、ジェット機でいうところの「逆噴射」という機能を用います。これはエンジンの噴射・推進方向を後ろではなく、どちらかというと前の方向に変えることで、200km/h以上の速度で着陸した巨大なジェット旅客機を減速させるときに使います。これを停止状態で行えば、当然後ろ向きに推進できるわけで、この自力での後方推進は「パワーバック」ともいわれます。

 しかし「パワーバック」は、ほとんど使われることはありません。これは、ひとつには地上車両やグランドハンドリング(機体の地上支援)を行うスタッフなどを巻き込む危険性があること、そして、バックするために「エンジンをいつもと違う方向に吹かす」分、大きな騒音、そして多くの燃料消費が発生してしまうリスクがあることです。

 なお通常、旅客機がトーイングカーに引かれてバックするのは、駐機場を出て誘導路に向かうシーンなどで一般的に見られます。ただ羽田空港の一部駐機場、プロペラ機など小さめの旅客機が発着する場合などでは、前進後に転回することで、車両の支援なく自力で駐機場から出るケースもあります。

【了】

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