進撃続く「中国製旅客機」、よりビッグな新型は「787&A350」のパクリ機!? 欧米機のライバルになれるのか
中国版「787&A350」もし実際にデビューしたら
C929は、名前から分かる通りC919の次作となります。290人乗りで客室は2本の通路を持つワイドボディ(広胴)機とされ、客席数からも、国内の航空会社でも採用されているボーイング787やエアバスA350のライバルを目指していると観測されています。
機体の大きさが似ていることに加えて、模型を細かく観察すると、端のほうで反り返るような主翼は787に、操縦室前を斜めに切り落としたような鋭角的な機首は、787はおろかA350にもそっくりに思えてきます。C929もARJ21と同じように、欧米機の“コピー”なのでしょうか。
実は、中国の天津にはエアバスの最終組立工場があり、そこでA350の客室の設置や塗装、引き渡し作業などが行われています。「中国製A350」の1号機も、2021年に中国東方航空へ引き渡されました。こうしたことから中国国産のC929へ、787よりも、A350の技術が流入していることは、あながち否定できないかもしれません。
ただし、“コピー”でなく、中国が自前の技術のみでC929を開発し、実用化した時の方が、ボーイングやエアバスにとっては脅威となるかもしれません。C929は当初ロシアと共同開発するはずでしたが、2022年2月に始まったウクライナ侵略により、現在は自分たちだけで開発を進めているとも聞かれます。
また、中国は約14億人の人口と広い国土を持つことから、機体を世界で流通させるために必要な欧・米航空当局側の承認が降りずとも、中国内だけの運用のみで、ある程度の需要を満たせるのも強みでしょう。C919もARJ21もこれまでは、そのような使われ方をしてきました。
それだけに、もしC929を完成させ商業運航に入ることができたなら、それは中国が確固とした旅客機開発の技術を得たことを意味します。今は模型のみの展示ですが、将来的に今回の航空ショーのようにC929の実機が姿を現わせば、現状ではボーイングやエアバスという2社の独壇場となっている大型旅客機の開発に、中国は挑戦してくるのかもしれません。
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Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
形式証明についても書けるとよいですね