これも「災害派遣」? 自衛隊はどこまで頼りにされるのか 広すぎる任務 時には心だって病む

前身の警察予備隊時代から数えて70年以上の歴史がある自衛隊の災害派遣。2024年の元日に発生した能登半島地震でも派遣され、さまざまな活動に従事しています。自衛隊は災害派遣によって国民の信頼を得るとともに、鍛えられたと言えそうです。

災害派遣の経験が自衛隊を強くする

 それぞれの災害派遣は、実施した部隊だけでなく報告書を通じて自衛隊全体で共有されることから、現場での活動は貴重な知見となります。

 現在、能登半島地震に関する災害派遣では、給水支援や入浴支援などが中心になっていますが、そこで多用されている陸上自衛隊の「野外入浴セット」は、1985年の日航機墜落事故で派遣された経験をもとに、隊員の士気向上を目的として開発されたものです。このほか海上自衛隊の輸送艦などによる入浴支援も、被災者に喜ばれています。

Large 20240311 01
令和6年能登半島地震の被災地に開設された野外風呂。陸上自衛隊には野外入浴セットという装備がある(画像:統合幕僚監部)。

 自衛隊における災害派遣の取り組みを大きく変えたのが、1995年の阪神・淡路大震災でした。自衛隊発足以来、初めてといえる大規模かつ広域にわたる災害派遣では、受け入れ先の自治体が自衛隊と普段から交流していなかったこともあり、地元自治体との連携強化が大きな課題として浮かび上がり、地域の防災訓練などに自衛隊が参加するきっかけとなりました。

 2011年の東日本大震災では、陸海空の自衛隊を一元指揮する現場の統合司令部、「統合任務部隊(JTF)」が史上初めて編成されています。これにより自衛隊と受け入れ自治体との窓口が一本化され、活動がスムーズになった反面、今度は末端での地域ボランティアとの連携に課題を残しました。この教訓から、地域の防災NPOやボランティア組織と地元の部隊が、定期的に意見交換する機会を設けるようになっています。

 今回の能登半島地震における災害派遣では、大きな被害を受けた被災地に向かう主要な道路が1本しかなく、それが寸断されたことで部隊の展開が逐次的になってしまったり、過疎地で孤立する集落が発生し支援物資を人力で運ばざるを得なかったりといった課題が指摘されています。

 しかし、これまでと同じように、今回の課題も「経験値」として、フィードバックされるはずです。それを教訓に、自衛隊はさらに強靭な対応力をもつ組織へと変貌することは間違いないでしょう。

【了】

【災害派遣に戦車も!】バックミラーマシマシの災害派遣型74式戦車ほか(写真)

【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス