【空から撮った鉄道】有明海に映える黄色い気動車の島原鉄道 火山活動の痕跡に車両基地がある

以前、西九州新幹線開業の空撮を紹介しましたが、実はその前に寄り道し、わずかな時間ですが諫早~島原港間の島原鉄道を空撮しました。撮影日は2022年9月23日。新幹線に間に合うよう綿密なプランを立てましたが、思わぬハプニングがありました。

この記事の目次

・下見無しの空撮に挑む
・デッドラインは10時50分 その理由は
・列車交換を狙うも… 下り列車はまだか
・曇り空で良かったことは

【画像枚数】全11点

下見無しの空撮に挑む

 私は空撮する前、被写体となる鉄道を訪れて下見します。その場の雰囲気やどこに何があるかといった情報を掴み、いざ空撮した際のイメージをつけるのです。しかし、ときには時間の制約があって下見ができず、ぶっつけ本番で実施することもあります。今回の島原鉄道もまだ乗車したことがない鉄道なので、2022年9月23日、とうとう下見無しで空撮することになりました。

 というのも、何度か乗車する機会を逃してきており、同月の西九州新幹線開業に併せて現地入りするため、今度こそはと意気込んでいました。が、いかんせん前日まで東京で空撮業務が入っていたため、またもや諦めざるを得ず……。残念です。

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手前は島原駅。その後ろには島原城。背後は眉山と普賢岳平成新山である。島原駅舎は島原城を模したデザインとなっている。島原城天守閣は外壁補修工事中であったが、現在は完了している(2022年9月23日、吉永陽一撮影)。

 ただし、上空からは立ち寄ることができます。事前に下見してからと思っていたのですが、Google Mapと衛星画像という現代の利器を駆使して撮影地点をチェックしました。撮影地点の資料作りは、標高、等高線、周囲の地形が分かりやすい国土地理院発行の地形図を用います。撮影地点の詳細図は、インターネット地図と衛星画像が大変便利です。しかし、線路の周辺環境まで把握できる下見には敵わない部分もあって、衛星画像は少し前の情報であり、必ずしも現況と同じとはいえず、過信しすぎると「あれ、ここに建物があるはずだが……」と、余計な情報に振り回されます。

デッドラインは10時50分 その理由は

 今回はネット上で資料を作成し、ひとまず状況を把握しました。島原鉄道は雲仙普賢岳を遠くに望みながら、諫早駅を起点に駅(旧・島原外港駅)が終点です。その先はかつて、島原半島をまわり加津佐まで至っていましたが、2008(平成20)年に廃止となりました。廃止区間は、普賢島原半島をまわり込み、島原港岳噴火による火砕流のため断続的に不通となり、防災工事を施して復活した箇所を含み、現在でも高架橋やトラス橋などの設備が解体されることなく、くっきりと残っています。

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大三東駅とその周辺。下りホームは海岸に面しており、有明海が視界いっぱいに広がる。干満の差で目の前の海の表情が変わり、人々を魅了している(2022年9月23日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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