ボーイング幹部「F-15戦闘機がマッハ3出した!」ホントかよ!? 世界の航空ファンがザワついたワケ

航空機メーカーであるボーイング幹部が語った衝撃的なコメントが、世界中の航空専門家たちから注目を集めました。それはF-15戦闘機がマッハ3という高速を出したというもの。これは本当なのでしょうか。

「圧倒的な速さ」こそロマンか?

 また、F-15はマッハ2以上となると「空力加熱」が大きな問題となります。機首先端のレーダードームやキャノピー(風防)などといった非金属部が耐熱制限に達することで、コックピット内に焼け焦げた匂いが漂うのだとか。そのため、マッハ2以上の高速状態を長く維持することはできず、マッハ2.3以上の速度を出す場合は、1分間の時間制限が課せられます。

 このように厳しい条件を複数クリアした場合にのみ、F-15はマッハ2.5を出せるのです。そのため、実戦配備されている普通の機体で、真夏に大量の武装を備えた状態だと、マッハ1.3さえも厳しくなるのが実態です。したがって日常的な訓練や実際の戦闘シナリオでは、最高速度という数値はほとんど意味を成さないとも言われています。

Large 20240406 01
F-15「イーグル」戦闘機は航空自衛隊でも多数運用している(画像:航空自衛隊)。

 結局、マッハ3発言をしたノボトニー氏は、わずか2日後には発言の訂正を行い、マッハ2.9と述べたことは誤りであるとしました。また、それとともに「設計上の制限はマッハ2.497である」と訂正したことで、この騒動は収束しています。

 かつて1950~60年代頃までは、戦闘機といえば熾烈な人類最速争いの最先端を行く乗りものでありました。しかし、1970年頃にMiG-25がマッハ3.2に達し頂点に君臨したことで競争は終わりを迎え、その後は半世紀にも渡って戦闘機の速度性能は「マッハ1をほんの少し上回る」ところで落ち着いてしまいました。

 そういったことを鑑みると、F-15EXのマッハ3発言が大きな反響を呼んだのは、航空専門家やファンらの潜在意識の奥底にあった、熾烈な速度競争を繰り広げた「黄金時代」への懐かしみ、またそうなってほしいという願望がロマン心を刺激したからだ、と言えるのかもしれません。

【了】

【8枚翼がポイント】NASAが使用した異形のF-15「イーグル」です(写真)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開