なぜ100年も運用?「太っちょ野郎」B-52 ご長寿だけじゃない、注目すべき逸話とは?

まもなく誕生予定の「B-52改」どんなもの?

 その後、冷戦終結にともないJ57エンジン搭載機は退役し、省燃費なTF33エンジンを搭載した「B-52H」だけが現役に残りました。

 ただ、それでも老朽化が進んだことから、B-52Hのエンジン換装も何度か計画されます。その結果、2021年に現行より燃費が良い、ロールス・ロイスF130エンジンの採用が決定。この新型エンジンに乗せ換えた機体は、B-52Jと呼ばれることも決まりました。

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空中給油を受けるアメリカ空軍のB-52爆撃機。愛称の「ストラトフォートレス」は「成層圏の要塞」といった意味になる(画像:アメリカ空軍)。

 一方、エンジン換装と並行して今年(2024年)からはレーダーも新型に換装する予定です。これによりB-52は、航法精度と目標追跡能力が向上するとされています。

 このように、アメリカ空軍はB-52をアップデートしながら、もうしばらく使い続ける予定です。ただ、同機の最終モデルは1962年製です。

 つまり、最も新しい機体でも今年で機齢62年に達するということ。そのため、アメリカ空軍には親、子、孫と三代にわたってB-52乗りという一家も生まれているほどなのだとか。

 B-52は、その長い就役期間に何度も後継機が登場してきましたが、その後継機の方が先に退役するという歴史を繰り返してきています。過去には、初の超音速戦略爆撃機B-58「ハスラー」、試作機だけで終わったマッハ3級大型爆撃機XB-70「バルキリー」、さらに近年では、低空侵攻も可能な可変後退翼型の戦略爆撃機B-1もB-52より先に退役すると明言されています。

 では、アメリカ空軍ではいつまでB-52を使い続ける気なのか。なんと、2050年ごろまでとのことなので、B-52は長寿機としての記録を更新しながら、いましばらくは活躍し続けるようです。

 ちなみに、アメリカ空軍の現場で、クルーたちはそんなB-52に親しみを込めて「BUFF(Big Ugly Fat Fellow=デカくて醜い太ったやつ)」と呼んでいます。

【了】

【写真】とんでもない量… B-52が積める爆弾&ミサイル

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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