レアな「有料の急行」 元“通勤電車”で中身は“特急”!? 埼玉の至宝「秩父路」に乗ってみた

終点まで乗る人は少ない

 リクライニングシートは回転機構を固定され、ボックスシートとして設置されています。戸袋窓部分は向かい合わせではなく、集団見合い式の2人掛け。埋められた中央扉部分は大型の固定窓となっており、座席が特急形のため優等列車らしい区画です。それ以外の座席は元・通勤形らしく、窓が開閉できます。運転席の後ろにも座席はありますが、前面展望は困難です。

 それでは、今や全国的にも貴重な有料急行の利用はどの程度あるのでしょうか。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2024年4月の土曜日に、影森駅8時48分発の「秩父路2号」に乗車しました。

 羽生行きの車内はほぼ空席でした。8時51分発の御花畑駅で乗車がありましたが、それでも15人程度。6分後に羽生行き普通列車が出るため、210円の急行券が必要な「秩父路2号」は敬遠されているのでしょう。終点まで乗れば普通列車との差は22分まで広がりますし、リクライニングシートは快適なのですが……。

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皆野~長瀞間の荒川橋梁(安藤昌季撮影)。

 とはいえ秩父駅、皆野駅と少しずつ乗客を増やしました。秩父~皆野間にはセメント工場が隣接した貨物駅の武州原谷駅があり、貨車が多数止まっています。皆野~長瀞間には荒川橋梁があり、水面からの高さ20mという迫力の景色が楽しめます。

 9時10分発の長瀞駅で4人乗車。下車も見られ、次の野上駅出発時の乗客は14人でした。東武東上線、JR八高線と接続する寄居駅では、3人下車し、1人乗車。ここで三峰口行き「秩父路1号」と列車交換しました。あちらは茶色の入った秩父鉄道旧標準色編成。「1号」は座席の半数程度が埋まり、乗車率は50%ほどと見受けられました。

 寄居駅を出ると速度が上がります。最高速度である85km/hを出しているようで、振動も大きくなりました。

「埋められたドア」はどうなっている? 急行「秩父路」のかなり豪華なシート(写真)

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