レアな「有料の急行」 元“通勤電車”で中身は“特急”!? 埼玉の至宝「秩父路」に乗ってみた

午後の便の様子は

 2018(平成30)年に開業したふかや花園駅では2人乗車、武川駅では5人乗車と次第に乗客が増え、9時50分着の熊谷駅で大半が下車しました。下車した乗客からはホームで急行券が回収されます。

 筆者は熊谷駅から、10時15分発の「SLパレオエクスプレス」で三峰口まで戻り、皆野駅でSLを見送った後、15時5分発の「秩父路4号」で再び羽生駅を目指しました。午前中とは異なり、今度は窓側の座席が埋まっており、乗車率は60%ほど。乗車率が高い状態でも、リクライニングや中間肘掛けを使う人はほぼ見られませんでした。

 15時11分発の長瀞駅でかなりの下車と乗車がありました。高い乗車率だったのは、15時51分の熊谷駅着まで。ここで大半の乗客が下車し、乗車率は10%ほどになりました。土曜日なので、急行列車は羽生駅まで運行します。途中は行田市駅にのみ停車しますが、16時11分に終点の羽生駅に到着するまで、車内はガラガラでした。

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前代の3000系電車。国鉄型165系電車を改造した車両 (2006年11月、安藤昌季撮影)。

「秩父路」に乗車した感想ですが、座席は元特急形ですから、総じて快適と感じました。一方で羽生~三峰口間は最大1時間48分かかりますから、トイレは設置してほしいところです。

 富山地方鉄道で西武鉄道10000系「ニューレッドアロー」が3両化されて導入されましたが、6000系置き換えの際に、秩父鉄道も導入するのはいかがでしょうか。西武の車両ですから、必要があれば西武鉄道からの直通もできるでしょうし、土日祝には、大きな側窓が観光客にも喜ばれそうです。

 ともあれ、伝統ある有料急行「秩父路」が、今後も愛される列車であってほしいものです。

【了】

「埋められたドア」はどうなっている? 急行「秩父路」のかなり豪華なシート(写真)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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