駅からゴミ箱が消えるとどうなる? かつての鉄道はゴミだらけ! 信じ難い“マナー”も…歴史は繰り返す?
日本の駅や列車内は清潔だといわれます。しかし一昔前は、そこら中にゴミが散らかっていました。特に列車内で出た弁当のゴミは、座席下に置くのがマナーといわれた時代も。日本人の美意識への変化を見てみましょう。
弁当などのゴミは座席下へ!?
時代とともに大きく変わったマナーとして有名なのが車内のゴミの扱いです。今はデッキのゴミ箱か、下車駅ホームのゴミ箱に捨てるのが常識ですが、昔は食べ終わった弁当などのゴミは座席の下に置くのがマナーとされていました。
ふだんあまり食べない人も、列車に乗ると気分が高揚するのか、やたら飲み食いする傾向があるそうです。駅販売、車内販売で購入した弁当や飲み物は大量のゴミとなり、そのままではあふれてしまいます。
鉄道側としては各自でゴミ箱に捨ててほしいと思っていたものの、当時はゴミ箱のない車両が多くありました。そこで終点の車内清掃だけでなく走行中にも係員が随時、回収するのですが、包装紙、箱、箸、ミカンの皮などが散らばっていては大変です。そこで新聞紙などで包んで座席下に置いてもらえれば清掃しやすい、そんな苦肉の策としてのマナーだったのです。
1960年代に入ると、新型の特急車両や新幹線など、ゴミ箱を備えたモダンできれいな車両が登場します。1964(昭和39)年の旅行指南書『新幹線旅行メモ』は、「弁当のから、その他のくずも、従来の悪習をやめて、出入り口のくずもの入れに乗客自ら入れに行って、できるだけ車内をよごさないようにしたいものである」と記しています。
清潔な車両は汚しにくいものです。この頃から徐々に「座席下マナー」は変わっていきますが、地域によっては1970年代後半まで残っていたという人もいます。
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