沖縄に昔から「鉄道」あったっけ…? 那覇の保存ディーゼル機関車の謎 キモは“車両の下”にあり!?
ディーゼル機関車だけじゃない! 見どころは線路にも
前出のディーゼル機関車は、そこで最後まで走っていた車両で、メーカーは加藤製作所。一説によると1967(昭和42)年製とのことで、機関室の中に残っていた流体トルクコンバーターの製造銘板を見ると、製造年月日のところに「昭和41年12月」という刻印を見つけることができました。
むしろ、歴史が古いのはこのディーゼル機関車が載っているレールの方です。この鉄路は周辺の市街地を整備する際に出土したもので、まさしく戦前の軽便鉄道(沖縄県営鉄道)のレールです。
軽便鉄道は沖縄戦で大きく破壊されたため遺構・遺物がほとんど残っておらず、せいぜい県東部の与那原町に駅舎(旧与那原駅)が残っている程度でしょう。那覇市周辺は激戦の地であったため、この壷川東公園のレールぐらいしかありません。
そこで、かつて沖縄本島の各所を結んでいた軽便鉄道の遺構を後世に語り継ごうと、南大東島の鉄路が廃止になったのを機に、そこで使われていたディーゼル機関車が海をわたって那覇市へと来たのです。
戦後生まれとはいえ、機関車が置いてあるだけで見栄えは断然違いますし、また遠くからでも目立ちます。
なお、ディーゼル機関車の後ろにもう1両、車両が置いてあります。一見するとディーゼル機関車で引っ張られていた貨車のようにも思えますが、こちらも機関車。同じく南大東島でさとうきびを運んでいました。
その証拠に、足回りをよく見ると、前後の車輪どうしをつなぐ連結棒が残されています。蒸気機関車の煙室やタンク、乗員室などは残っていませんが、これも沖縄県の鉄道事情を伝える立派な遺構と言えるでしょう。
【了】
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