沖縄に昔から「鉄道」あったっけ…? 那覇の保存ディーゼル機関車の謎 キモは“車両の下”にあり!?

沖縄本島の公園にディーゼル機関車と蒸気機関車の一部が残置されています。沖縄にゆかりのある車両ですが、ゆいレールより前の時代、沖縄県の鉄道事情はどうだったのでしょうか。

沖縄本島とは別の場所から来たナゾ機関車

 沖縄県の県庁所在地である那覇市の壷川東公園にディーゼル機関車がひっそりと置かれています。ただ、沖縄県の鉄軌道は21世紀になって開業した「ゆいレール」こと沖縄都市モノレールしかないはず。公園の一角にたたずむ、この機関車は何者なのでしょうか。

 実は沖縄本島には戦前、軽便鉄道(沖縄県営鉄道)や馬車鉄道、路面電車などがありました。しかし利用者減や戦災により廃止または破壊され、1945年以降は長らく鉄道のない状況が続いたのです。
 
 その後、ゆいレールが開業したのは2003(平成15)年のこと。太平洋戦争終結から58年後のことでした。とはいえ、壷川東公園にあるディーゼル機関車は、戦前に使われていたものというわけでもなさそうです。

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那覇市の壷川東公園にあるディーゼル機関車(乗りものニュース編集部撮影)。

 実はこの車両、沖縄本島で使われていたものでもありません。傍らの説明書きを見ると「南大東島でさとうきび等を運搬するのに使われていた」と記載があります。本島から東に約400km離れたこの島では、1900(明治38)年にさとうきびの栽培が始まり、20世紀初頭には収穫物を運ぶための線路が敷かれました。
 
 南大東島の線路規格はJR線などより一回り小さい、軌間762mmのいわゆるナローゲージで、路線は島を一周するもののほか、北支線や南支線などがあり、島内を網羅していました。大戦を経て、製糖メーカーの大東糖業が運営を引き継ぐと、畑や製糖工場、港を結ぶ「シュガートレイン」を運行。一部では、島民を乗せる旅客輸送も担ったそうです。

 しかし、時代の変化とともにさとうきび輸送がトラックに取って代わると、鉄道は1983(昭和58)年をもって廃止に。ただ、現在も南大東島内には、一部の線路などの設備が道路に埋もれるように残存しています。遊歩道として整備された区間もあります。

【チェーン駆動かよ!】三菱製エンジン積んだ南の島のディーゼル機関車。車内も(写真)

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