空飛ぶガソスタに「逆給油」なぜ!? 米軍が成功した“奥の手” 一体なにが変わるのか?

アメリカ空軍が画期的な空中給油方法のテストに成功しました。いわば空中給油機への「逆給油」。これにより作戦活動の柔軟性や運用の幅が広がるとされていますが、一体どういうことでしょうか。

空中給油機は無限に燃料あるわけじゃない

 実際、空中給油機が燃料不足に陥り帰還困難になってしまったという例も少なくありません。こうした事態に備え、KC-10や今後主力となることが見込まれるKC-46は空中給油レセプタクルを備えており、自身が空中給油を受けることも可能です。しかし空中給油機が空中給油を受けるということは、ほかの作戦に使えたはずの空中給油機を奪ってしまうことになります。

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フライングブームを下ろしたKC-10空中給油・輸送機とドッキングしようとするC-5M大型輸送機(画像:アメリカ空軍)。

 今回の試験では約30分で1万660kg(約2万3500ポンド)の逆空中給油に成功しています。これは通常のフライングブーム式の空中給油に比べて約1割程度の送油量であり、C-5とKC-10の両機ともに最大燃料搭載量が約150tもあることを考慮すると、燃料満タンにするような使い方は現実的ではないようです。

 とはいえ、逆空中給油が実用化されれば空中給油機が安全に着陸するための最低限の燃料を輸送機などから与えるという運用が可能になるため、空中給油機の作戦持続能力と安全性を高めることにつながり、結果、リスクを軽減することができます。

 そのため、こうしたことが行えるという余地が生まれるだけでも、アメリカ空軍の戦略的な柔軟性と即応性はさらに向上し、かつ緊急展開や長距離作戦における支援能力が強化されることは間違いないと言えそうです。

【了】

【空中給油シーンも】日の丸付けたKC-46Aを色んなアングルから見る(写真)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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