ローカル線=「国民に大負担」 100年前に問題予測 “我田引鉄”に斬りかかった男の主張とは

利用がなく赤字のローカル線は廃止すればよい――このような声は一部で聞かれ、また鉄道会社も収支状況を公表し、路線改廃へ向けた議論を行いたい考えです。ただ、このようなローカル線問題を100年前に提唱した人物がいました。

鉄道のメリット・デメリット それを100年前に提唱

 木下が1920(大正9)年頃に提起した問題意識は現代に通じる、いや完全に未来を見通したものでした。彼は、鉄道は多額の資本を要する交通機関であり、新線建設は沿線住民に少なからず利便をもたらすものの、同時に一般国民に多大な負担を与えるものだと説きました。

 そして鉄道に代わる廉価な交通機関はないかと考えた時、社会の大局から見て、鉄道より船舶が有利な部分には海運を、自動車その他の運輸機関が有利な部分にはそれを活用し、最も経済的な交通機関を発達させることが公益に通じると述べています。

 鉄道は大量輸送に適していますが、バスやトラックなどの自動車は(道路整備の必要はあるにせよ)旅客や貨物の輸送単位が小さい地方では、鉄道よりはるかに小さいイニシャルコスト、ランニングコストで導入できます。自動車は1台あたりの輸送量は小さいものの、頻繁な運行が可能で、これは旅客輸送で特に有利です。

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貨物駅のイメージ。小回りの利かない鉄道は、自動車へ荷物を積み替える必要がある(草町義和撮影)。

 また鉄道は、住宅や荷主から駅までの二次交通が必要ですが、自動車は住宅から住宅に、倉庫から倉庫に直送でき、途中で積み替える必要がありません。とはいえ大量輸送や長距離輸送は鉄道でないと実現できないものであり、状況に応じて使い分けるのが理想というわけです。

 そのうえで彼は、今後、建設すべき路線のうち、貨物旅客が少なく地形上、鉄道敷設に多額の費用を要する場合は、鉄道に先立ち自動車運輸を開始し、貨客が増加した場合は鉄道を建設すればよいと主張しました。

 鉄道の特性は大量輸送であり、自動車の特性はドアツードア、フリークエントサービスを安価に実現できることにある。これはまさに今、行われている議論の本質そのものです。

地方路線は悲鳴… JR東・西日本の赤字線区を見る(路線図)

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