勝算絶無の日米艦隊決戦「マリアナ沖海戦」 ゲリラに拘束されなかったら…? そこに勝機はあったか
小型空母は哨戒用へ…
ガダルカナル島撤退時に、「日本本土からも近いマリアナに兵力を集め、有利な決戦を行う」と決め、「日本空爆のために敵はサイパン島に来る。マリアナで決戦を挑む」として、マリアナの防備を重点的に固め、燃料を日本本土に輸送していたら、少しは違ったでしょう(各地で抵抗しないことで、資源地帯を攻撃される危険性はありますが)。
日本軍のレーダーでも、敵艦載機群を80km遠方から探知した実例はありますから、マリアナにレーダー基地を多数作り、偵察機も多数配備、さらに哨戒艇による哨戒網も張り巡らせれば、アメリカ空母からの奇襲被害は減らせたでしょう。台湾沖航空戦で述べ1251機を投入して成果が芳しくない旧日本軍ではありますが、空母と合わせて2000機以上集められたなら航空優勢を取れたかもしれません。
日本空母も産油地帯に近いルンガ泊地で訓練し、その後日本本土に戻したうえで出撃させれば、アメリカ潜水艦隊に攻撃されて訓練もできないことはなかったでしょう。また「海鷹」「神鷹」「鳳翔」などの小型空母は、決戦時に対潜哨戒と索敵で運用する方策もあったと考えられます。
兵力を集中したうえで、日本空母がミッドウェー海戦で敗北した原因である、「敵基地の陸上航空機に艦隊を発見され、基地を爆撃している最中に脇から現れた敵空母艦載機の攻撃を受ける」の逆を成立させれば、アメリカ艦隊にも被害が出たでしょう。
また史実では、日本空母と基地航空隊は「どう連携するか」も決めておらず、各個撃破されましたが、本来なら味方基地航空機の傘の下に艦隊を起き、アウトレンジなどせずに基地機と共に戦いを挑む方が有利といえます。
そこまでしても「勝てる」とはとても断言できませんが、史実のように「ほぼ戦果ゼロ」にもならなかったと考えられます。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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