過去最高業績!「バイクで絶好調のスズキ」に死角はないのか? 肩身狭かった二輪の躍進

2024年がグローバルでピーク? 低迷する国内

 苦戦する地域は、日本も例外ではありません。同社の決算を国内ユーザーとして見ると、少し心配な点も見えてきます。その最も大きなポイントが2023年の海外市場と国内市場の成長の乖離です。

 国内市場は前年同期比で約15%少ない3万9000台に落ち着きました。この販売台数は欧州市場とほぼ同じです。欧州市場では8000台増やし、日本では7000台減らして、この規模に落ち着きました。欧州市場の伸長について、同社こう話します。

「欧州は大型新機種の販売ならびにユーロ5(新排ガス規制)対応の125cc機種が貢献し、前年を上回る販売となった」

 社会の高齢化でバイクユーザーも減少する傾向にあります。日本ほどではありませんが、欧州も高齢化しています。また欧州はロシアのウクライナ侵攻の影響を最も受けて、生活インフラの高騰が課題になっています。

 スズキは2025年のバイク販売台数予想として、グローバルで2万台減少する189万2000台(1.1%減)の見込みを立てています。国内の販売台数予想は3万8000台、2024年より1000台の微減見込みです。それに対して欧州は3万3000台、2024年より3000台の増加予想です。鈴木社長も悩んでいるようです。

Large 240516 suzuki 02

拡大画像

2024年3月期決算説明会の表紙。鈴木社長がKATANAとスイフトを並列でアピール(画像:スズキ)。

「商品ラインナップであるとか、いろいろ考えてみますと、まだまだ他社さんに十分対応できないというか、スズキの特徴をしっかり現したようなモデルがやっぱりできてない、商品として提供できてないなというふうに思っています。スズキの特徴ある二輪車を販売できるようにがんばっていきたい」

 バッテリーEVを含めた四輪車の激しい開発競争で、バイクは稼ぐ力として期待される側面が年々強くなっています。収益を上げるためにはコストを削る必要があります。それが魅力あるバイクと両立できるのか。日本では新基準原付の規格も控えています。スズキらしいニューモデルの登場に期待したいところです。

【了】

【インド版通勤快速!?】インドで売れてるスズキのバイクたち(画像)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。