ようやくロシア戦闘機と戦える…! 間もなく誕生「F-16ウクライナ仕様」で戦況が激変するワケ
F-16の運用開始でようやくロシア空軍と対等に
セミアクティブレーダー誘導の空対空ミサイルを相手に命中させるためには、相手の射距離に入る覚悟を持った上で、命中までミサイルを誘導してやらねばならないという大きなリスクを抱える必要があります。
それに対し、「アムラーム」を含むアクティブレーダー誘導の空対空ミサイルなら、発射後は早期に相手の射程圏外に逃げることが可能なので、こういった撃ちっ放し空対空ミサイルは、現代戦闘機の必需品と言えるまでになっています。
ロシア空軍の主力戦闘機であるSu-35SやSu-30SMなどは、「アムラーム」とほぼ同等の性能を持つといわれるR-77「RVV-AE」空対空ミサイルを搭載しているため、R-27しか持たないウクライナ空軍のMiG-29やSu-27では太刀打ちできません。そのため、F-16AMによってはじめて対等に戦えるようになるといえるでしょう。
「RVV-AE」を搭載したSu-35Sと、「アムラーム」を搭載したF-16AMの戦いは、戦闘機やミサイルの性能だけではなく、状況認識を得るためのデータリンク・ネットワークや、パイロットが実行する戦術など、さまざまな要素によって決まることは間違いありません。
それらを鑑みると、ウクライナがF-16を本格的に前線で使用するようになった場合、航空優勢を確保しようと双方の戦闘機による空中戦が激化すると予想されます。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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