「戦闘機パイロット不要論」はあり得ない!? もはや有人機とドッグファイトする無人機どう使う 見えてきた「近未来の戦い方」

無人戦闘機がいても有人機が飛び続けるワケ

 無人戦闘機のAIは人間のように疲れることがないため、特定の条件では人間とは比較にならないほどの速さで反応し対処することも可能です。しかし、パイロットがそれまで行ってきた状況判断と意思決定のすべてを肩代わりするのは難しく、マルチタスクという点では有人戦闘機に分がありそうです。

 そこで、現時点では無人機と有人機、それぞれの長所を組み合わせた運用方法が模索されています。

 それが「MUM-T」という概念です。この単語は「Manned UnManned-Teaming」の頭文字を取った造語で、翻訳すると「無人機と有人機の連携」という意味になります。MUM-TはKAIの無人戦闘機だけでなく、航空機以外の無人車両や無人船舶などあらゆる無人プラットフォームに当てはまるものです。そのため、今後の戦場におけるすべての兵器の無人化のキーフレーズともいえるでしょう。

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FA-50と無人機AAPの模型。FA-50後席の乗員が無人機の司令役となる(布留川 司撮影)。

 KAIのMUM-Tの運用コンセプトでは、複数の無人戦闘機が編隊を組んで行動し、その司令役として韓国製の軍用機であれば、KF-21戦闘機またはFA-50軽戦闘機の複座型が指揮(操縦しない後席の乗員が担当)を執る形になる模様です。

 無人戦闘機は、小型のAAPが機体ごとに「偵察」「電子戦」「電子的囮」など、異なる任務を目標近くで行い、より大型の無人戦闘機がAAPの支援の下に機内に搭載した兵器で攻撃を担当。有人機であるKF-21やFA-50は、反撃を受ける可能性が少ない後方からこれら無人機編隊の指揮をとったり、必要ならば自機も直接、戦闘に参加したりします。

 このような、無人機と有人機を混成運用するコンセプトの利点は、実際に敵の近くで活動する任務は無人機に担わせ、そうすることで反撃を受けた際の人的損失を抑えられるということだけでなく、AIの自律判断でも対応可能な戦闘の末端部分については無人戦闘機に担当させることで、有人戦闘機の負担を軽減するという点にあります。

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